JBNは、長野県長野市のウェブサイト、ホームページ企画制作・構築会社です。
私たちは、地域の皆様のホームページ・ウェブサイト構築のソリューションパートナーを目指しています。
お問い合わせは、お電話(026-224-2011)
またはお問い合わせフォームをご利用下さい!

「漫画100」改め、大人になれば 稲田英資

大人になれば

友人へ送った本についての手紙。

   更新日:2010.09.09

『藩校早春賦 』
宮本昌孝(集英社文庫)

ネット上で久しぶりに再会した友人と
本についての交換メールがゆっくりと続いている。

十年以上連絡をとっていなかったのに、
いや、十年以上連絡をとっていなかったから
その期間の本の遍歴を互いに報告するのが楽しい。

本も映画も音楽も落語もきっとそうだけど、
好きなものについて語り合うときは年の差も立場も性別も
全部すっとばしてしまえるのだ。

だからぼくは心ふるえるものが好きだ。


*  *  *  *  *  *


友人への手紙


実は新選組は司馬遼太郎の『新選組血風録』(角川文庫)くらい
しかちゃんと読んでいません...。

幕末は読み物として大好きな時代なので、もっといけるはずなんだけど、
タイミングが合わないのか新選組は手つかずなのです。

『竜馬伝』も観たい!
ツイッターで孫正義さんが毎週熱く語っているので、
ウズウズはしているのです。
うーむ、やはり時間は作るものですね。

浅田次郎さんでいえば、初期のころはだいぶ夢中になって読みました。
『鉄道員』に始まって、『地下鉄に乗って』『日輪の遺産』
『プリズンホテルシリーズ』『きんぴかシリーズ』『蒼穹の昴』くらいまで。

『蒼穹の昴』以降はほとんど手つかずになってしまったので
『壬生義士伝』も『輪違屋糸里』も読んでないのです。

あの浅田次郎さんが新撰組を描くんだから「おもしろいに決まってる!」のにね。
読みたいリストがまた増えました。

ぼくはそもそも宮本輝の『青が散る』や佐藤多佳子『しゃべれどもしゃべれども』、
村上春樹の『風の歌を聴け』『ノルウェイの森』、村上龍の『69』、
金城一紀の『GO』といった青春小説が好きなのだけど、
石田衣良の『池袋ウエストゲートパーク』をおもしろく読んでいた時に、
ふとその限界を感じてしまったときがありました。

青春小説では青春小説ゆえに
若者ならではのまっすぐな感じや、瑞々しさ、不完全さを描くのだけど、
現代を舞台にすると彼らがまっすぐであるための目的を持たせるのが難しいのです。

だからどちらかというと『青が散る』や『風の歌を聴け 』『69』は
若者特有のもやもやした感じがメインでした。

そして、『しゃべれどもしゃべれども』や『GO』は目的は持っているのだけど、
主人公がもつ特異性(落語や在日というアイデンティティ)があって成立する青春でした。

ぼくは上に挙げた本は全部大好きだし、どれも愛しているのだけど、
もっと普通の若者が生きていく青春小説を読みたいと思ったんだ。

そんなときに出会ったのが宮本昌孝さんの『藩校早春賦 』(集英社文庫) だったのです。
宮本昌孝さんはたしか『剣豪将軍義輝』で注目された作家さんだと思うけれど、
『藩校早春賦 』はスーパーヒーローではない江戸時代の普通の若者たちが
悩んだり笑ったり、でもまっすぐに生きようとしていました。

今なら清廉な若者自体が不自然に見えてしまうけど、
江戸後期の彼ら若者たちはそう生きることが当たり前なのです。
それがすごく自然に描かれていて、ぼくもそのまま読むことができた。
内容はほとんど忘れてしまったのだけれど、
「真っ当は青春小説はここにあるじゃないか!」ってすごく驚いた。

現代では描きづらい青春や恋愛や理想や正義を
時代小説は正面から描けるじゃないか!って目からウロコが落ちた。
続きの『夏雲あがれ』もすぐ読んで、「おもしろかったー」ってお腹いっぱいになった。

でも、ぼくのいけないのは目からウロコが落ちるのだけど、
すぐほかにも行っちゃうのだね。

だから、今は時代小説物はあまり読んでいません。
記憶に残っているのは宮部みゆきさんの『初ものがたり』シリーズと
山本一力さんの『あかね空』、米村圭伍さんの『風流冷飯伝』『退屈姫君伝』くらい。

藤沢周平や佐伯泰英はどうもすごいらしいと、いろんな書評を読んでと思うのだけど
「うーむ、読んでみたいぞ!」と思っているだけでなかなか手が伸びません。
もちろん池波正太郎も。
もったいない。

隆慶一郎は『一夢庵風流記』が大好きで何回も読み返していて、
『吉原御免状』と『鬼麿斬人剣』もおもしろく読みました。
でも、ぼくの気持の中で「時代小説を読んでいる」というより
「隆慶一郎を読んでいる」という気分だからちょっと違うかもね。

だから、ぼくにとって時代小説というジャンルは
すっごくおもしろそうな本がいっぱいある手つかずの箱、という感じです。
これから君にいろいろすすめてもらえれば本当にうれしいよ。

最近のぼくは手元に何冊も置いて気が向く順に読み進めるやり方になってしまって、
いま併読している本は
『1Q84 BOOK3』村上春樹
『映画を作りながら考えたこと』高畑勲
『BORN TO RUN 走るために生まれた』クリストファー・マクドゥーガル/近藤 隆文 (訳)
『カシオペアの丘で』重松清
『本が好き、悪口言うのはもっと好き』高島俊男
という馬鹿みたいなことになっています。

前回の休日は『1Q84』を読んで、合間に『映画を作りながら考えたこと』をつまみ読みし、
『BORN TO RUN』を開くのだけど、『本が好き、悪口言うのはもっと好き』に流れたと、
自分で書きながらまったく何やってんだという読み方です。
あ、『ブルータス』の借りぐらしのアリエッティ特集も脇に開いて
本に集中できないとつまみ的にそれを読んだ。
集中力がないんだな。

ああ、本の返事だけでこんなになってしまった。
新選組はあまり読んでないよってことだけだったのに...。