こんにちは。JBNの木村です。入社して10年目になります。
今回は経理業務のデジタル化についてお話します。総務編はまた改めて。
「バックオフィス」「間接部門」個人的にはあまり好きになれない呼び名ですが、私はその中で経理を担当しています。当社が制作したWebサイトやシステムがお客様に納品されるときの「リリース・ローンチ報告」(社内専用の報告チャット)やJBNの実績紹介に私の名前が載ることはありません。少し寂しいけれど当然のこと。
だから経理業務がデジタル化しても、スタッフみんなの何かが変わるわけではないのです。しかし、この数年で経理の仕事は大きく変わりました。これまではあまり積極的にお伝えしてこなかったのですが、今回は少しでも「経理のデジタル化って、こんなことが起こっていたんだ」と知っていただけたら嬉しいです。
「どうしてboardにしたんだっけ?」「freee会計はいつから?」と記憶を辿ると、ツールの検討を始めたのは2020年3月頃。コロナが日本にも上陸して、徐々に「これは大変なことだ」と地方都市に住む私たちでも気づき始めた頃です。ちなみに、長野市内で初の新型コロナウイルス感染者が確認されたのが2020年の4月1日。それを受けてJBNは最初の社員一斉リモートワークを始めたタイミングでもあります。
ツール選定の初期段階は『マネーフォワード』か『freee会計』を導入して見積書や請求書を管理しようと考えていましたが、Web制作というJBNの業務の特性上、受注から納品までが長期(半年〜1年)にわたるため、「受注→即請求」となはらず、案件管理が欠かせません。そこで出会ったのが「board」でした。
正直なところ、boardを選定したのは当時の上司なので彼に聞くのが一番なのですが(昨年末に定年退職なされました…)、わたしが個人的に一番驚いたのが個別のオンライン相談会にboard開発者ご本人(ヴェルク株式会社代表・田向祐介氏)が登場したことでした。 開発者ご本人からの説明を聞いていくなかで、今までの悩みが解決されるだろうという期待だけが増えていき、「バックオフィス業務のために起業したのではない」というワードに私はロックオンされていたのは事実です(笑)
board以外に検討したサービスは無かったので、社内では満場一致で即決だったのだと思います。
boardとfreee会計を本格的に運用し始めたのは2020年8月。その年の4月にはコロナ禍でスタッフ全員が在宅勤務となるような先が見えない状況でした。在宅勤務が中心となるシチュエーションで、「紙の請求書をどう扱うか」「案件担当者と経理がどう連携するか」という課題に直面しました。
新しいツールに現在進行形の生きたデータを移す作業や、過去データのバックアップなど、表には出ない細かい作業も数多くあり、どちらかといえば肉体労働であり、一般的には「システムを変えるだけ」と思われるかもしれませんが、現場は膨大な作業を平行して行わなければならず、経理システムを変えるのはすごくすごくすごく大変だなと痛感しました。
もし同じように導入を検討される方がいれば、導入支援などのサービスの利用を強くおすすめします。
「これまでのやり方」で想像だけで立ち上げるのは、正直かなり大変です。
5〜6年前までは見積書・請求書作成は無料ソフトを使っていました。
金額変更も頻発し、月末には銀行残高が合わず、ミスを探す「果てしない旅」に出ることもありました。さらに「紙との戦い」も日常でした。請求書を印刷・コピー・封入し、ポストへ持って行く。受け取る請求書もサイズが多種多様で、穴を開けてファイリングするのが大嫌いです。(今でも完全に無くなっていない)
現在は顧客・受注管理をHubSpotで行い、boardで見積書・請求書を発行、freee会計へ連携しています。
特にboardの便利さは特筆すべき点です。請求先や発行タイミングがひと目でわかり、金額チェックもしやすい仕様。未入金案件の把握や請求書ダウンロード状況の確認も可能で、対応のスピードが格段に上がりました。請求書を郵送していた頃は2人で丸1日かかっていた作業が今やメール送信で半日もかかりません。効率化の効果は絶大です。
ただし、board導入後も予期せぬ落とし穴はありました。便利になったのと引き換えに起こったミスも。パソコン上で複数の人が操作し完結するからこそ、気をつけなければなりません。「請求書を発行する」という行為を単なる作業にせず、案件担当者と経理が同じ意識を持つことが重要だと感じています。
銀行口座やクレジットカードとの同期で残高合わせの苦労は一気に解消されました。経理の仕事は決算業務がその年の集大成で大変だと思われがちですが、そもそもその前提となる月次で残高が合っていなければ、話になりません。毎日の入出金を入力しているのに月末に締めてみたら残高が合わない。誰のせいにもできないそのミスは入力時の自分に起因していて、もはや自分さえ信じられない気持ちで作業にあたっていました。
それが今はどうでしょう。取引先や勘定科目の推測機能、OCRによる仕訳候補の提示など、まさに「感動」を覚える便利さです。
一方でfreee会計独自の画面に慣れるまで苦労したり、「自動で経理」という機能の誤解(実際はルール設定が必要)など、ツールを使いこなすには人の理解が欠かせないことも学びました。
私たちが経験できたのは「ツール導入=解決」ではなく、業務フロー全体を見直すことの重要性でした。チェック体制を強化すればミスが防げる、というのは幻想。結局は仕組みそのものを変える必要があったのです。デジタル化で確かに改善されたことはたくさんあります。しかし、それを活かせるかどうかは、使う人の意識や理解にかかっています。
私が今後取り組みたいのは、デジタル化の恩恵を「当たり前」として次世代が受けられる環境を整えることです。(たとえば私の次に経理担当になってくれるかもしれないまだ見ぬあなたへ)
経理業務のデジタル化はゴールではなく、業務改善を掲げたプロセスのひとコマにすぎません。
表舞台には出ない仕事ですが、そうした基盤を整えることが、JBNの持続的な成長につながると信じています。そして、その舞台づくりこそが、経理としての私の役割だと思っています。
執筆者:JBN 木村
弊社の制作事例、Web活用のご支援実績をご紹介しています。HubSpotの知見、Webサイト構築・コンテンツ制作の豊富な経験を活かして、デジタルマーケティングやセールス活動を幅広く支援しています。