日本経済新聞社が運営する英文メディア『Nikkei Asia 』。アジアの今を発信する同メディアはグローバルにビジネスを展開する多くの企業や個人に購読されています。BtoCとBtoBの両輪でサービスを展開する中、特に法人営業の領域では従来のスプレッドシートによる情報管理/行動管理が生み出してしまう年間最大2000時間の管理工数大きな課題となっていました。
それら営業課題を抜本的に解決すべく、HubSpotを導入し、マーケティング施策の合理化を実現したNikkei Asiaビジネスチームの皆様にお話を伺いました。
左3名がJBNスタッフ、右3名がNikkei Asiaグループの皆さま
—— 本日はお時間をいただきありがとうございます。改めて、皆様が所属する『Nikkei Asia』のビジネスチームの役割について教えていただけますか?
金丸 私たちは日本経済新聞社が運営する英文メディア『Nikkei Asia』のビジネス部門に所属しています。アジアの視点からニュースを発信するメディアで、BtoC(個人)とBtoB(法人)の両軸でサービスを展開しており、国内外の金融系やテック系、自動車業界などのお客様にご購読いただいています。私たちのグループはプロダクト開発から営業、マーケティングまで幅広い業務を少人数でおこなっています。だからこそ各チームが密に連携し、職域を越えてクロスファンクショナルに動いているのが特徴です。
—— 今回のプロジェクト概要についても改めてお教えください
金丸 今回のプロジェクトでは主に2つの取り組みを行いました。ひとつは、「購読管理システムとのAPI連携」です。これは既存の購読管理システム(以下、システムZと仮称)との連携を前提に、HubSpot側でのデータ整合性や自動化を進めるもので、社内の運用負荷を大きく軽減することが目的でした。
もうひとつは「海外代理店向けのセールスレポートの設計」です。法人マーケティングから契約までのジャーニーを整理したうえで、どのようなレポートが必要かをJBNさんと一緒に検討しました。
写真奥から、新妻さん、藤田さん、金丸さん
—— 法人営業チームの業務改革のためにHubSpotを導入いただきましたが、導入前はどのような課題があったのでしょうか?
新妻 大きく2つの課題がありました。一つは「営業進捗の情報の管理」、もう一つは「契約とユーザー情報の紐付けが困難であること」です。以前は海外に複数ある営業代理店の進捗をすべて、個別のスプレッドシートで管理していました。そのため、どの案件がどこまで進んでいるのかが見えず、ある拠点で得られた成功体験やノウハウを他の拠点に横展開しづらい状態でした。
情報が個別に管理されていたため全体の状況を把握するのが難しく、営業の進捗も見えづらい状態でした。「どの案件がどこまで進んでいるのか」「誰がどの契約を担当しているのか」といった情報が共有されておらず、本社としては見通しを立てるのが困難でした。
藤田 もう一つの課題「契約とユーザー情報の紐付けが困難であること」の大きな原因は、法人契約を管理するスプレッドシートと、購読者のユーザーIDを管理するシステムZが分断されていたことです。両者を手作業で紐づけていたため、契約企業のユーザーが実際にどれだけサービスを利用しているのかを把握するのが非常に困難でした。CRMとの連携もされていなかったため、サイト上でのアクティベーション状況との整合性を確認するのにも多くの手間がかかっていました。
金丸 こうした情報の収集や確認作業はほとんどが手作業で行われていたため、法人営業チームではかなりの工数がかかってしまっていました。特に月末月初の請求書作成時には各拠点から情報を集める作業に追われ、社内の資料によると年間で1500~2000時間もの時間がこの管理業務に費やされていました。
スプレッドシートと睨めっこしなければいけない時間が長く、本来注力したい営業活動に十分な時間を割けず、もどかしさを感じていた営業メンバーもいました。さらに海外拠点との時差もあり、コミュニケーションのスピード感も課題となっていました。
—— 複数のツールを比較検討されたと思いますが、最終的にHubSpotとJBNを選んでいただけた理由は何だったのでしょうか?
金丸 HubSpotを導入した背景には法人契約の順調な拡大があります。法人様との契約件数が増えるにつれて、従来のスプレッドシートによる案件管理では対応が難しくなってきたため、情報の一元化と業務効率化が急務となっていました。他のSFAツールとも比較検討を行いましたが、導入コストや社内で確保できる人的リソースの観点から、最終的にHubSpotを選びました。また、導入にあたってはJBNさんの支援を受けられる体制が整っていたことも、安心して進められた大きな要因です。
藤田 プロジェクトを進める上で重視していたのは、購読管理システムであるシステムZ とのデータ連携です。システムZ が持つ「会社」「契約(コントラクト)」「ユーザー」という階層構造を、可能な限りHubSpot上で再現し、スムーズなデータ連携を実現することが重要でした。将来的な拡張性やカスタマイズの柔軟性も考慮していましたね。
新妻 HubSpotが我々のビジネスの規模感やペースに最もフィットしていた点も大きかったです。コストパフォーマンスが高く、かつ社内リソースで運用できるイメージが湧きました。JBNさんの支援体制もやっぱり決め手の一つでしたね。導入検討時、単なるツールの機能説明だけでなく、私たちのビジネス全体を俯瞰した上で、表面的な課題の裏側にある根本的な課題は何かを汲み取って提案してくれたのが印象的でした。
新妻 JBNさんを知った最初のきっかけはHubSpotさんからのご紹介でしたが、実際にお話を進めていく中で、JBNさんにお願いしたいと思った理由がいくつかあります。ひとつは、基本的なワークフローの設計や構築にとどまらず、当社が課題としていたCRMとの連携についても積極的に提案・対応してくださった点です。単なるツール導入の支援にとどまらず、業務全体の流れを理解したうえで、実務に即した形で伴走していただけると感じました。また、打ち合わせの中で感じた、皆さんの真摯な姿勢も大きかったです。こちらの課題や要望に対して丁寧に耳を傾けてくださり、「JBNさんとなら一緒に進めていける」と自然に思えたことが、最終的な決め手になりました。
Nikkei Asiaグループ 新妻さん
今回のプロジェクトではAPI連携をするためにAPIサーバ(AWS)の検証・設計・構築も進めました。
—— 当プロジェクトで印象に残っていること、大変だったことは何でしょうか
藤田 納期が迫る中でJBNさんの本社である長野に足を運んだり、逆にJBNさんに東京に来ていただいたりと、現場での密なコミュニケーションを通じて課題解決に取り組みました。こうした動きの中で、JBNさんと一緒に一歩ずつ進めていけたことは非常に心強かったです。また、既存の購読管理システムZとの連携については私たち自身もまだ学習中の部分が多くありました。そうした中で、JBNの西澤さんを中心にJBNさんと一緒に調査を重ねながら進めていけたことは、非常にタフな工程ではありましたが、同時に楽しく、学びの多い時間でもありました。
Nikkei Asiaグループ 藤田さん
金丸 ワークフロー周辺のタスクは大変でした。どのタイミングでユーザー側のHubSpot取引ステージを変えるといった設計を取りまとめるのには苦労しました。
室賀(JBN) あそこまで長大なのは他社でも見たことがありません。笑
金丸 海外代理店向けのセールスレポート設計では、法人マーケティングから契約までの流れを一から整理し、必要なレポート項目を定義するところから始めました。
JBNさんからの提案をきっかけに、私たち自身も「Nikkei Asiaはどのようなお客様にサービスを届けたいのか」という顧客像の再定義から始めることができました。このプロセスがあったからこそ、マーケティングから営業に至るまでの全体像を見直す土台ができたと感じています。顧客像の再定義を含めたこのプロセスは、チームとしても非常に学びの多い時間でした。
—— HubSpot導入後、営業やマーケティング活動はどのように変わりましたか?
新妻 これまで手作業で行っていたことが自動化されたのが最も大きな変化です。情報がHubSpotに集約されたことで、海外の現地担当者の進捗も含めてリアルタイムで可視化され、営業活動が格段に進めやすくなりました。管理工数が削減されたのはもちろん、営業担当者の心理的な負担も大きく軽減されたと思います。
金丸 代理店のサポートもしやすくなりました。例えば、ステージ管理機能を使って「3ヶ月後に契約更新を迎える企業」を抽出し、先回りしてアプローチするといった動きが簡単にできるようになったんです。レポート機能も便利さを感じています。これまでは手動で作成していたマネジメント向けの報告資料や代理店ごとの状況レポートがHubSpotのダッシュボードでいつでも確認できるようになりました。
藤田 特にヨーロッパの代理店ではもともと別のCRMツールを利用していた担当者がいたのですが、HubSpotの柔軟なレポート機能を活用して彼女の要望に応え続けた結果、最終的にHubSpotへ完全に移行してくれました。 これは大きな成功事例です。
—— それは実に素晴らしいですね。マーケティング活動への影響はいかがでしょうか?
金丸 営業の管理工数が削減されたことで生まれた時間を法人向けマーケティングに充てられるようになりました。例えば、これまで技術的に困難だった「特定の契約企業に属するユーザー全員に一斉メールを配信する」といった施策が簡単にできるようになったのは大きな進歩です。
ワークフロー機能も活用しています。「一度アプローチして反応がなかった顧客に、その1週間後、改めてメールを再送する」といったフォローアップを自動化することで、手作業を減らしながら施策を進化させています。最近ではHubSpotで法人向けのランディングページ(LP)も作成しました。そのLPをプロモーションとして用いることはもちろん、LP経由で問い合わせのあった顧客のデータを分析するなどHubSpot活用の幅が広がっています。
—— 当社とのプロジェクトの進め方について、印象はいかがでしたか?
藤田 直接オフィスに来ていただいて膝詰めで話せたことで、プロジェクトが大きく前進した瞬間がありました。オンラインでのやり取りだけでは伝わりきらない部分を対面で解消できたのは非常に大きかったです。
金丸 「英語メディア」や「システムZ」といった、一見すると特殊な環境に対しても臆することなく、本質的な課題解決に向けて一緒に取り組んでくれる姿勢がありがたかったです。
新妻 まさに発注者と受注者という関係ではなく、同じゴールを目指す「共同プロジェクト」として進められたと感じています。お互いの知識を持ち寄り、対等な立場で議論できたことが成功の秘訣だったのではないでしょうか。
JBNスタッフ(写真左から佐藤、西澤、室賀)
—— ありがとうございます。とても嬉しいです。最後に今後の展望についてお聞かせください。
金丸 営業戦略との兼ね合いではありますが、今後はHubSpotのマーケティング機能をさらに活用していけたら面白いと思っています。マーケティングと営業の連携を強化し、顧客のジャーニー全体を可視化・最適化していくことが目標です。スコアリング機能などを使い、これまで感覚や手作業で行っていた分析を仕組み化することで、より戦略的なアプローチができるようになると期待しています。
藤田 BtoBのビジネスは現在も大きな成長のチャンスがある領域だと感じています。特に大口のグローバル契約を増やしていく上でHubSpotをハブとしたデータ連携の仕組みは不可欠です。今後もシステムをブラッシュアップしていきたいですね。
藤田 導入後は海外現法も含めた営業状況の可視化が進み、過去の案件も含めて情報を確認しやすくなったという声が多く聞かれています。また、現在の契約状況についてもシステムZとHubSpotのデータが一致している前提で確認できるようになったことで確認作業が楽になりました。この点では私たちプロダクトテック側の工数削減にもつながっていると感じています。
金丸 法人営業チーム側でも年間の活動実績をまとめる際など、以前は情報収集にかなりの時間を要していましたが、今では HubSpotのダッシュボードからすぐにレポートを出せるようになり業務効率が大きく向上しました。ダッシュボードについては実際に使ってもらう中でブラッシュアップを重ねており、積極的に活用されている地域もあります。これはJBNさんに最初のたたき台をしっかり作っていただいたおかげだと思っています。一方で、まだ十分に活用できていない地域もあると聞いています。今後の課題としては、数字を見る習慣をどう根付かせるか、そしてその数字が次のアクションにつながるようなレポート設計をどう進めていくか、という点が挙げられます。
藤田 今回のHubSpot導入を通じて、個人的にとても勉強になったと感じています。同じチームに所属してはいるものの、これまで法人営業の業務プロセスについては深く理解しているとは言えませんでした。ですが、プロジェクトを通じて実際の営業フローや契約までの流れを体系的に知ることができ、業務の背景や目的をより深く理解するきっかけになりました。また、ツール導入という枠を超えてチーム内での業務理解が進んだことで、今後の連携や改善にもつながると感じています。
—— プロジェクト全体への感想やJBNへのご要望があればぜひうかがいたいです。
金丸 導入初期の段階から頻繁にミーティングを設けていただき、進捗状況の共有や課題のすり合わせを丁寧に行っていただけたのはとても助かりました。特に、こちらの状況やスケジュールに合わせて柔軟に対応してくださった点が印象的です。
藤田 文面でのやりとりについても、弊社が普段使用しているSlackやBacklogといったツールに合わせていただき、コミュニケーションの負担が少なく、社内のメンバーとも連携しやすかったです。こうした細やかな配慮や対応力が、JBNさんと一緒に進めていく上での信頼感につながりました。
新妻 繰り返しになりますが、私たちの業務理解から始まり、実際のワークフローに落とし込むところまで、まるで自分ごとのように真摯に取り組んでくださったJBNさんは本当に信頼できるパートナーです。
コラボレーションという言葉が本当にぴったりな、お互い一緒に、同じゴールに向かう「共同プロジェクト」となったと思います。改めて感謝申し上げます。
—— Nikkei Asia様のビジネスの進化にHubSpotとJBNが貢献できていることを大変嬉しく思います。本日は貴重なお話をありがとうございました。