SAKATA DAISUKE

ニーズを言語化し、現実を選び取るというインターネット上の言語実践について

2017.12.31

人々がインターネットを使って問題解決や欲求の充足を行おうとする際、自らのニーズをキーワードに変換し検索を行っている。これは、ニーズを1〜3語のキーワードへと言語化し、ネット上に投げかけ、その結果返された(提案された)「現実」を選び取るという行為である【インターネット上の言語実践】※1。この言語実践について見ることは、インターネットが浸透した現在、人々の「ニーズの満たし方」について考えることであるとともに、私たちが「現実」をどう構築するかということを考える時に、集中的にクローズアップされるべきテーマだ。

人々はニーズを1〜3語のキーワードへと言語化し、その結果提案された「現実」を選び取っている。とは言え、単語の羅列で人々のニーズを満たす「現実」を想定するのは難しいことも確かだ。例えば、「お雑煮 作り方 関西」という検索キーワードだけでは、「料理のスキル」「味の好み」「何名分の雑煮が必要」といった、検索した人のバックグラウンド、個別性に関わる情報(=多様性)が圧倒的に足りないのだ。
このため、人々は検索結果のテキストを見て、または実際の検索結果から辿り着くコンテンツを閲覧することで、自分のニーズを満たす「現実」を個別性に照らし合わせて選び出す作業が必要になる。ソーシャルメディアのタグ検索で言えば、流れるタイムライン上のビジュアルをスクロールさせて好みの「現実」を選び取ることになる。

重要なことは、検索キーワードに対応する、個別性や多様性を前提とした「現実」はキーワードからはそう簡単に類推できないということだ。例えば、「おしゃれ カフェ 長野市」で指し示す「現実」は人の趣味嗜好によってそれぞれ違う。これは、インターネット上で検索されるキーワードやタグは人々のニーズの一部が言語によって部分的に可視化されたものであり、このキーワードに対応する人々の「現実」は開かれているということを示しているのではないか。言い換えれば、【インターネット上の言語実践】とは、「ニーズを1〜3語のキーワードへ変換する」という不確定性の高い言語実践という特徴を持つため、人々の多様性にマッチングする「現実」をあらためて選び直してもらえる可能性があるということだ。
(上記に関わり、インターネットは評価・追認のプロセスを持っていると私は考えているが、これはまた別の機会に書きたい)

GoogleAnalyticsやキーワードアドバイスツールに代表される調査ツールによって、インターネット上で検索されているキーワードを取得することは可能であるが、重要なことはこのキーワードを題材として人々がどのような「現実」をイメージしようとしているのか?または、どのような「現実」をイメージさせたいのか?主体者が明確な態度をもつことである。

この明確な態度を「コンテンツ※2」によって可視化することがWebサイトのミッションであると私は考えている。つまり、人々の個別性に語りかける主体者の信念や意志とはなんであるか?企業の商品やサービスに置き換えるならば、商品やサービスは人々のどのような未来を描きたいのか(どんな問題を解決したいのか)ということをコンテンツによって可視化し、人々が選び取るべき「現実」を創り出していくことをWeb構築のプロセスとしてもっとも大切にしたいと考えている。

※1「現実」とは言語による人々の間主観的な合意によって成り立つと考える社会構築主義の考え方をあらかじめ援用している。
社会構築主義については以下の動画をご確認ください。
東京大学学術俯瞰講義 学問と人間 第7回 学問とポジショナリティ:ジェンダースタディズ 2006
上野千鶴子
http://ocw.u-tokyo.ac.jp/lecture_84/

※2インターネット上のコンテンツが何を指し示すのかについては、改めて考えたい。