こんな特設ページ嫌だ(解答編)

前回、私の遊び心によってとっても嫌な特設ページができたのですが、残念ながら、これとそっくりな特設ページは実在します。

さて、どこがどのように最悪なのか、一緒に考えてみましょう。

まず、おさらい。こんなページでしたよね。

1. JBNのサイトのホームに「わくわく! ウェブクリエイター体験!」というバナーを置く。
2. クリックすると、「わくわく! ウェブクリエイター体験!」というタイトルが表示。体験中の人が、楽しそうに、活発に取り組んでいる。
3. 下にスクロールすると、「ウェブクリエイターとは」というコンテンツ。ウェブクリエイターという言葉の意味から始まり、どのような業界でどのような仕事をし、どれくらい需要があるのか説明。
4. さらにスクロールすると、「JBNの仕事」というコンテンツ。JBNではどのような仕事をしているか具体的に説明。
5. さらにスクロールすると、「ウェブクリエイター養成講座が必要なわけ」というコンテンツ。養成講座を受けないとどれだけ大変な目にあうか、読む人の恐怖心をあおるように説明。
6. さらにスクロールすると、「こんな感じで体験入学します」というコンテンツ。体験入学の雰囲気を動画で紹介。
7. さらにスクロールすると、「体験入学のスケジュール」というコンテンツ。1コマ目は座学で2コマ目は実技。今までに体験入学した人がどんな作品を作ったのか紹介。
8. さらにスクロールすると、「ウェブクリエイター養成講座を受講した人の声」というコンテンツ。「ウェブ制作会社に入社して即戦力として活躍しています!」「優しく丁寧に教えてくれました!」など、ポジティブな声を紹介。
9. さらにスクロールすると、「ウェブクリエイター体験の申し込み」という申し込みフォーム。

ページの善し悪しを考えるとき、もっとも重要なのはユーザーエクスペリエンスです。日本語では、ユーザー体験といった言葉で訳されます。
長いカタカナ言葉が登場すると難しく感じられるかもしれませんが、要は、ユーザーの気持ちになればいいんです。

まず、ユーザーは、JBNのサイトに訪れます。そこから、「わくわく! ウェブクリエイター体験!」というバナーをクリックして、特設ページに入ります。
ひとまず、検索によって直接、特設ページに来る場合については考えないことにします。一番の理由は、検索で来る可能性が非常に低いからです。

さあ、ユーザーの気持ちになってみてください。

バナーに書かれているのは、「わくわく! ウェブクリエイター体験!」です。
クリックした先のページのタイトルも「わくわく! ウェブクリエイター体験!」です。

当然、ユーザーは、わくわくするコンテンツを期待します。どんなわくわく感が得られるのか、期待します。
タイトルのすぐ下には、わくわく感のある写真が掲載されています。わくわく感が高まります。
それと、JBNではどんなウェブクリエイター体験ができるのか、期待します。

その期待を抱えながら、タイトルの下を見ていくと、「ウェブクリエイターとは」というコンテンツ。

『......えっ。』

突然の、用語説明。わくわく感、大暴落です。

いや、確かに、ウェブクリエイターっていう言葉の意味はわかりづらいと思うよ。うん。
でもさ、どんな体験ができるか見せてくれたら、なんとなく意味くらい理解できるって。
ていうか、意味が分かりづらいって思ったのなら、わかりやすい言葉にすればよかったじゃん。
わかりにくい言葉のままにして、そのために説明して、一体、ユーザーに何を読ませたいの。

多くのユーザーは、時間をとても大切にします。
「ツマンネ」って思ったら、すぐにそのサイトから出ていきます。
そして、「ツマンネ」って思わせる原因の多くは、無意味なギャップです。
今回の場合、期待通りの情報を与えてくれないので、ユーザーは出ていきます。

しかし、仮に、このユーザーは我慢強かったとしましょう。

『もうちょっと読んだら、ウェブクリエイター体験の話があるんだよね。』

まだ期待します。

ところがどっこい。次のコンテンツは「JBNの仕事」です。

『......おいコラ。ちょっとマテ。ウェブクリエイター体験、どこいった。』

我慢強いユーザーも、このコンテンツがあればしっかり追い出せます。なんて素晴らしい。
おそらくここまでで8割以上のユーザーが出ていったと思うのですが、もうちょっと続けましょう。

続きましては、「ウェブクリエイター養成講座が必要なわけ」です。
次から次へとユーザーが求めない情報を提供し続けるこの態度、嫌がらせでしょうか。
ここまで来ると、ページに対する不信感がサイトに対する不信感に変わってきます。

しかも、これまでに、「ウェブクリエイター養成講座」という言葉は出てきませんでした。
ウェブクリエイター養成講座のためのウェブクリエイター体験なのですが、それについての説明がまったくないので、ユーザー置いてけぼりです。

「本当にこんなひどい特設ページ、存在するの?」って思われるかもしれませんが、これとそっくりなページは実在します。
また、このページのように、説明なしに突然登場するコンテンツは意外とよくあります。
「ページを提供している側にとって当たり前の言葉は、ユーザーが理解しているとは限らない」という視点が欠けると、こういう事態に陥ります。

次のコンテンツは、「こんな感じで体験入学します」。ようやく来ました。
ユーザーは、余計なコンテンツをいくつも見せられて疲れています。
さあ、今こそ、名誉挽回のチャンスです! わかりやすく体験入学について解説しましょう!

ユーザーの目の前には、動画の再生ボタン。

『......えっ。』

目が点になる。しかし、押してみる。

体験入学の様子が流れる。解説などはない。雰囲気しかわからない。

『......よし、ここは飛ばそう。』

次は、「体験入学のスケジュール」。
ここへ来て、ようやく体験入学の内容を知る。2コマあって、座学と実技らしい。
今までに体験入学した人がどんな作品を作ったのか紹介している。

......違う。そうじゃない。知りたいのは、それじゃない。
体験入学によって最終的にでき上がるものになんて興味はない。
そうじゃなくて、体験入学の内容は? どんな座学なの? どんな実技なの? 何が学べるの? どんな経験ができるの?

そして、最後のコンテンツ。「ウェブクリエイター養成講座を受講した人の声」。

......まただよ。また、「ウェブクリエイター養成講座」の話だよ。

ウェブクリエイター養成講座のおかげで、就職してすぐに現場で活躍できました!
とか、そういう話を聞きたいんじゃないんだよ。わくわくとか、体験とか、どこいった。

なんだこれ。めちゃくちゃモヤモヤする。
こんな気持ちのまま「ウェブクリエイター体験の申し込み」フォームとか見せられたって、絶対に書くもんか。
ほかのページも見ようかと思ってたけど、やっぱりやめるわ。

......ね? 最悪でしょ?
ユーザーの気持ちになれば、これがどれだけひどい特設ページかわかるんです。

では、どうしてこんなひどい特設ページができてしまったのか。
前回も軽く言いましたが、プロセスが重要です。前回の記事を振り返って、プロセスを確認してみましょう。

まず、これは、誰のためのページだったのでしょうか。誰を満足させるためのページだったのでしょうか。
このページの目的は何だったのでしょうか。

そもそも、ウェブクリエイター体験というものに、どれだけ需要があったのでしょうか。

一つのページを作るだけでも、考えなければならないことはたくさんあります。
ちゃんと考えていますか? どこをどのように考えるべきか、ちゃんと理解していますか?

制作会社任せにしていませんか?

ちゃんと成果の出るサイトを作るためには、制作者だけでなく、企業のウェブ担当者も知っておくべきことがたくさんあります。
それを知る機会が、SHINSHU BRAND WAVEのセミナーです。
日本屈指の講師たちが、最強の知識、ノウハウ、経験をお話しします。

もう申し込みを締め切ったはずなので、今回はセミナーについては言わないつもりでしたが、まだ若干、席に余裕があるそうなので、最後のお知らせをしました。
この機会を逃すのはあまりにもったいないので、今すぐ申し込むことをお勧めします。

執筆者

マトリョーシカの中の人

マトリョーシカの中の人

「難しそうなことはきっとマトリョーシカがなんとかしてくれるはず。」 そんな都市伝説を形にするため地上に降り立ったクリーチャー。 年齢も性別もみんな不明。一体お前は何なんだ。 手も足も出ないし、首も回らない。 それなのに、いつもどうやって設計しているんだろう。 どうやってプログラム書いているんだろう。 そっちのほうが都市伝説。