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東京企業から見たら地方採用は穴場?『採用カンファレンス in新潟』に参加してきました。

株式会社モザイクワーク主催の『採用カンファレンスin新潟』に参加してきました。
モザイクワークはJBNの採用講座で講師にお越しいただいた杉浦二郎さんが代表を務められる会社です。

今回のカンファレンスでは「マイクロリクルーティング〜最小の効率で、最高の成果を〜」と銘打ち、
採用学』の第一人者である服部泰宏神戸大学大学院准教授、
OfferBox」を立ち上げた株式会社i-plug 代表取締役社長の中野智哉氏が登壇されるという充実の内容でした。

『採用学』
服部准教授の著書。採用とはどのような活動で、そこにはどんな課題があるのか。経営・行動科学の研究者として、「採用」を科学的な手法で分析。2016年、日本の人事部「HRアワード」書籍部門最優秀賞受賞。

「OfferBox(オファーボックス)」
新卒特化の逆求人型就活サイト。旧来のエントリー型ではなく、企業から学生に直接オファーを送るのが特徴。近年は利用企業が増え(4090社)、学生登録は10万人(四人に一人の利用率)と急成長している。


第1部 基調講演(服部泰宏准教授)
自社採用を考える際に、下記3点を通しての現状把握が大切というお話からスタート。

1.ポジション(自社の立ち位置)
2.リソース(自社の武器)
3.ジョブ(学生が抱えているもやもや)

上記を把握した上で、「問いの立て方」を変えてみることが重要ですと話は続きました。

例として、多くの企業が立てる問いが、「どうすれば、優秀な求職者が自社にエントリーし、選考中にドロップアウトせずに残り続け、内定を受け入れてくれるか?」になりがちなことを指摘。
この問いの立て方だと答えまでの距離が遠く、有効な解決になりづらい。
また、対象となる求職者目線の問いになっていません。

今の学生は就職先で生涯働き続ける意識も薄く、意欲的な学生ほど「20代における自分の成長についてこの企業はどんな価値があるのか?どんなことを提供してくれるのか?」ということを求めていることを提示。
大企業は意識せずとも、結果として彼らのニーズに応えている可能性があるという指摘に納得しました。
どんなジャンルであれ、ユーザーニーズから仮説を立てることは最重要です。

「学生がどのようなニーズを抱えていて、自社はどのような採用によってそれを解決できるのか?」という問いの立て方は当たり前のようで、やりきれている企業はあまりありません。
大手採用ナビの集客システムに乗っていればよかった旧来の手法から離脱して、小さくともオリジナルな手法を作り上げることはチャレンジングだからでしょう。

しかし、オリジナルな問いからスタートすることで「自社が取るべき採用」の姿が見えてくるという服部准教授の指摘は、時代の変化に対応するためにも、地方の中小企業こそ本気で取り組むべきことだと思います。
数年前からオリジナルな手法を作り上げるという「採用のイノベーション」が各地で起こりつつあり、その先駆けの一社だったのが杉浦さんが三幸製菓で実行した取り組みという解説にも大きく頷きました。

服部泰准教授のお話は著書『採用学』と同じく明快かつ具体的。
今まで何となく捉えていた「採用」というあやふやな現象に、論理とデータで確かな骨格が与えられたことは、社会にとっても重要なことだと思います。 あっという間の一時間でした。


第2部 パネルディスカッション
モザイクワークの杉浦二郎さん、
「採用学」の服部泰宏准教授、
「OfferBox」の中野智哉代表。
三名それぞれの発言がどれも興味深く、夢中でメモを取りました。
要点のメモのみ抜粋します。(メモなのでご本人の発言通りではありません)

<学生の動き方が変わってきた>
杉浦氏 学生の動き方がいよいよバラバラになってきているように思える。
中野氏 18卒と19卒で企業の動く時期が明らかに変わった。東京・大阪などの地方学生アプローチが強まっている。地方企業は採用活動に動き出す時期が遅く、その上、学生が利用している新しい就活ツールへの取り組みが遅いので、都心企業にとって「地方は穴場」と認識されている。

<地方企業の採用について>
杉浦氏 地方企業は工夫の余地があるのか。それとも学生は東京しか見ていないのか。
中野氏 スマホとSNSによって、地元コミュニティから抜けづらい状況とマインドが地方学生にはある。なので地方企業の工夫次第では東京に取られないことができる。学生は地元企業を本当に知らない。原因は企業の広告が採用ナビに依存しているから。

<何を伝えるのか>
杉浦氏 学生に自社を伝える努力や、知ってもらう努力が重要。
服部氏 働く場所の選定について学生にロジカルな理由がなく、漠然としたイメージしかない。学生が知りたいのは「その企業で働く20代の間にどんなスキルを得て、何が提供されるのか?」である。
中野氏 実際、オファーボックスを利用する学生の65%は第一志望の業種から内定が出ても、最終的は第二・第三志望だった業種を選択している。
杉浦氏 伝えることについては、「何を伝えるか」「どう伝えるか」があるはずで、最初は「何を」が重要なはずだが、ほとんどの企業ができていない。

<これからの採用>
中野氏 今の学生は「何がやりたいか」より、「何をやって、誰に認められるか」の承認欲求が強いと思う。スマホやSNSの普及で自分のコミュニティで承認されるかどうかが就職先を決める最後の1gになっているように思う。
杉浦氏 地方企業は、学生を集めることに注力する今までのやり方を変え、採用に必要な人数にだけリーチし、「募集」「選抜」「組織化」に等しく力を注げるマイクロリクルーティングに取り組まなければいけない。また、いつまで新卒一括にこだわるのかという問題がある。通年で出会いをオープンにしていかないと今後は戦えないのではないか。
服部氏 新卒にこだわらず、自社のキャリアの中で「どの世代」を「どのタイミング」で惹きつけるかが大切になってくる。今必要な人を今取るという通常の採用と、それとは別に5年後や10年後に必要な人と関係を作ることで、将来のライフタイムで自社を想起してもらう「人材プール」という考えも有望だと思う。
中野氏 今後、個人ニーズはデータとして可視化されていく。オファーボックスでは会社で活躍している人の適性項目をデータ化し、類似値の学生を絞り込む機能があり、それで入社した一年目の社員が優れた結果を出している。また、2020年のオリンピックには現状の選考ルールでいくということはない。そもそもオリンピック時に東京で選考する場所も時間もなく、ルールは変わらざるをえない。2年後には企業からのアプローチ対象も大学2年生の冬か3年生の春になるのではないか。成果を出した企業の共通点は、新しいことを始めるために古いことを断捨離したこと。大きな変化はチャンスにもなる。この2年間は大きな変化に向けて、やるべきことの取捨選択をし、新たな戦略を立てる必要がある。


参加した感想
杉浦二郎さん、服部泰宏准教授、中野智哉代表と「採用」の最前線にいる3名のお話を聞くことができ、とても濃密な二時間でした。
杉浦さんの「地方企業はマイクロリクルーティングでまだまだやれることがある。可能性がある」という考え、
服部准教授の「問いの立て方で答えが変わる」という視点、
中野代表の「成果を出した企業の共通点は、新しいことを始めるために古いことを断捨離したこと」という現実。

特に、服部准教授の「学生は二十代で得られることを知りたがっているのに企業は気づいていない」という指摘と、中野代表の「学生の65%は第一志望業種から内定が出ても他を選択する」「何をしたいかよりも、誰に認められるかに価値を見いだす学生もいる」は膝を打つ指摘でした。

今回のカンファレンスは「採用はこれから本当に変わっていくのだろう」と実感できたのが大きな収穫です。
しかもその変化は想像以上のスピードで起きること。

そして、無視できないポイントとなるのが「自社の取るべき採用の姿」「採用に関わるデータの可視化と仕組み化」であるという点に大変納得しました。
「すでに変化が始まっている採用の近未来予想図」を聞いたことで、非常に危機感も増すという副産物もあるのですが。長野企業の皆さんにも聞いていただきたい内容でした。

カンファレンス後に服部准教授、中野代表とお話しした際に、お二人とも「地方企業の採用について力になりたい」と思っておられ、とても心強かったです。
JBNでもこのような採用講座を開けるよう取り組んでいきたいと思います。
杉浦さん、服部さん、中野さん、本当にありがとうございました。
長野にもぜひお越しください。

採用サイトについてのご相談

執筆者

稲田英資

稲田英資

株式会社JBN SBW部部長
セミナー・講座で学ぶ「成果」のためのWeb戦略プログラム『SBW』の企画・運営を担当。
また、「経営課題としての採用活動」をテーマに取り組み、採用面でのインターネット活用を学び、提案・講座に活かしています。

過去の講師歴
●SBW 『大手採用メディアに依存しない採用サイトのつくり方Vol.1、Vol.2』
●出前講座 『大手メディアに依存しないインターネットを使った採用活動』(福祉団体主催の長野県福祉人材確保・定着支援セミナー)

個人的な活動
長野市ライブハウス『ネオンホール』Webサイトへの連載
『大人になれば』

「働くって何だろう?」をテーマにいろいろ考えたり、話を聞きにいったりするWebマガジン
『働くって何だろう研究所』

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