こんにちは。JBNデザイナーの樋口です。2026年4月1日、長野県長野高等学校の公式サイトがリニューアル公開されました。今回のプロジェクトが動き出したきっかけは、長野高校出身であるJBN専務によるコンペ提案。母校への並々ならぬ想いが込められたそのプランは、見事選定を勝ち取ることとなります。
バトンを受け取った当初、私は「長野高校の“伝統と革新”というスローガンを大切に、スマートに形にしていこう」と考えていました。提案時のコンセプトをベースに丁寧に展開していけば、きっとこのプロジェクトを高い精度で完遂できるはず。そんな風に、少し穏やかな気持ちでスタートを切ったのを覚えています。しかし、思い描いていた道筋は、現場の先生方の熱い想いによって心地よく裏切られることになります。
先生方から求められたのは、洗練された進学校の姿ではありませんでした。
「高校生の青臭くてもパンチのある言葉や写真を活かしてほしい」
「中学生が見てワクワクするような、躍動感がほしい」
このリクエストを受けた瞬間、私のデザインの方向性が替わりました。当初の予定にはなかったトップページデザインの試行錯誤が始まりました。
先生からは、学校や生徒たちを想う熱い目線ゆえのフィードバックが次々と届きました。 「たくさんの想いを、どうやって形にするか」。それは、デザイナーとして一番悩み、一番やりがいのある工程です。
いただいたご意見をただ盛り込むのではなく、「長野高校らしさを一番に伝えるにはどうすべきか」という視点で、全体のバランスを整え直すことに注力しました。先生方と並走しながらも、デザイナーとしての指針を明確にしたことで、ようやくサイトに一本の芯が通った気がします。
また、躍動感を出すために選んだ「斜線」のデザインは、全体の統一感を保つのが難しく修正に苦労しましたが、先生からは「斜線の角度の統一」など緻密なご指摘をいただきました。同時に良いと思う点もストレートに伝えてくださる先生方の姿勢は、今後自分が指示を出す立場になった時の学びとなりました。
カメラマンさんには事前の下見にも同行してもらい、あえて細かな指示で縛りすぎない表現の余白を持った撮影時間を設けていただきました。
先生方の生徒さんへの積極的な声掛けやモデル協力もあり、上がってきた写真はどれも「長野高校らしさ」が溢れるフレッシュなカットばかり。バリエーション豊かなイメージカットが多数確保できていたことは、その後の制作工程で本当に大きな助けとなりました。
最終的にメインビジュアルの主役となったのは、生徒たちが自ら撮影した作品たちでした。
単に写真を載せるだけでなく、撮影した生徒さんの名前と作品タイトルをクレジットとして掲載する仕様に。彼らが見ている世界や言葉が、サイトを開いた瞬間に飛び込んでくる。大人が作った「完成された学校紹介」で終わらせるのではなく、生徒たちの視点がそのままサイトの鼓動になるような場所。今後は、生徒たちが自分たちのリアルな言葉や表現を、直接更新していく運用も予定されています。
完成したサイトは、私がはじめに思い描いていた「スマートな進学校」とは少し違います。 ゴールドの斜線が走り、生徒たちの飾らない言葉が躍る。少しはみ出したエネルギーを感じるサイトになりました。
予定を大幅に超える熱量を注ぐことになりましたが、本当に伝えたいことは何かを問い直し、制作工程を一つひとつ丁寧に組み上げたからこそ、長野高校という伝統校にふさわしい新しい表情を引き出せたのだと感じています。
長野高校のリニューアルプロジェクトを通して改めて感じたのは、クライアントの熱い想いをくみ取り、それをデザインの力で確かな伝わる形へと整理していく大切さです。
JBNのデザインは、デザイナーひとりの力で完遂するものではありません。 クライアント、ディレクター、エンジニア、それぞれの専門領域から知恵を出し合い、チーム全員で試行錯誤を繰り返しながら、課題解決につながるデザインを追求していきます。クライアントやその先にいるユーザーの心に届くデザインを一緒に悩みながら追求したいデザイナーを募集しています。