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【セミナーレポート】          アニメ『DEATH NOTE』『進撃の巨人』の荒木哲郎監督トークセッション
JBN×デザインスタジオ・エル共催セミナー

2023.01.19
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1月19日JBNセミナールームにて、デザインスタジオ・エルとJBNの共催セミナーが開催されました。

セミナーの講師として、アニメ『進撃の巨人』や『DEATH NOTE』など、数々の作品の演出を手掛けるアニメ監督の荒木哲郎さんにお越しいただき、当社専務の坂田とのトークセッションで2時間たっぷりとお話をお聞ききしました。

荒木さんと当社専務の坂田は大学時代からの友人でもあり、同じゼミで学んだ仲だそうです。荒木さんの学生時代のエピソードから、進撃の巨人の制作時の裏話まで、普段聞けないようなお話をたくさんお聞きすることができました。

 

本記事では、荒木さんの監督としてのチームとの関わり方や、仕事をするうえでの心構えについてお話しいただいたことを中心にレポートにまとめました。

 

 

きっかけは張り紙づくりから

ガンダムやエヴァンゲリオンに影響を受け、大学を卒業後、監督になるべくアニメ制作会社に就職した荒木さん。最初の仕事はセル画や背景画などを車で運ぶ仕事や、社内向けのお知らせの張り紙作成だったそうです。

一見演出の仕事とは関係のないようにも思える張り紙作成でも、イラストを交えて面白くしてみたりと、任された仕事の中で自分をアピールできるよう、工夫を凝らしました。

その張り紙が上司の目に留まったことがきっかけで、演出の仕事を徐々にいただけるようになり、監督の仕事につながっていったそうです。

 

荒木さんのアニメ監督としての仕事は、メインスタッフ選びや作品の方針決めをおこなうことはもちろんのこと、アニメーターが描く指示書となる絵コンテを作成し、それをもとにそれぞれの製作陣に向けて言葉で説明をすることが多いそうです。

お話をお聞きしていて、一つの作品を作りあげる大変さと、そして黙々と絵コンテを描く時間のほかに、チームのたくさんの人と長い時間をかけて話し合い、作品の空気感や意図が伝わるように進めていく、コミュニケーションがとても重要な仕事でもあることがわかりました。

監督はスタッフに点を取らせる役

荒木さんはご自身の監督としての役割を「スタッフに点をとらせる役であるべき」だと話します。

本来、監督は大勢の演出家に頼んでやってもらう仕事であり、スタッフが点を取れることを陰で喜ぶ役割であるということです。

チームで働くということは、自分が一生懸命に前に出て頑張るだけではなく、ときには一歩引いて仲間をサポートする側にまわることも大切なのだと、気付かされたお話でした。

 

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監督として大切なことは、ご機嫌な人でいること

「作品の成功は、アニメのクオリティだけでなく、制作現場がうまく回っていて初めて成功したといえる」と荒木さんは話します。そのために大切なのは「ポジティブな空気が流れている現場づくり」であるとおっしゃっていました。

放送日までの限られた時間の中、締め切りに追われ、緊迫した状況下で仕事をすることも多いアニメの制作現場。その中でも、現場にポジティブな空気が流れるように、監督である荒木さん自身が常にご機嫌でいることを意識しているそうです。

関わるみんなが喜べる仕事にしたい

例えば、打ち合わせの時になんの解決策やアイディアが生まれなかったとしても、「荒木監督の打ち合わせは今日も楽しかった」と思ってもらえることをゴールに、コミュニケーションをとるようになったそうです。また、スタッフの仕事に対してフィードバックする際は、まずその人のやる気や姿勢を肯定し、ポジティブなフィードバックをすることを心がけているそうです。

そうすることでチーム全体ものびのびと仕事ができるようになり、作品自体のクオリティにもよい影響をもたらしたといいます

 

荒木さんは現場の空気感や、結果だけではない相手の努力しようとする姿勢など、目には見えにくく見落としてしまいがちな部分も、しっかりと汲み取ろうとされる方なのだなと感じました。

仕事に失敗はつきものだと思います。そんな時に次へのモチベーションにつながるフィードバックは本当に大切だなと思いました。

 

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チームの一員としてどうあるべきか

今回のセミナーの冒頭で、荒木さんから「私もみなさんと同じように人間関係に悩みながら仕事をしている1人です」という言葉がありました。

あれだけ数々の人気作品を生み出すアニメ監督なので、周りを気にせず、グイグイとチームを引っ張っていくような方なのかなというイメージを勝手ながら持っていたため、その言葉に驚きました。

ですがお話を聞けば聞くほど、作品のクオリティにこだわり、作品に愛情を注ぎ込む前に、一緒に仕事をするチームに対して愛情を持ち、メンバーのことで悩む、そんな荒木さんに親しみを感じました。そうやってチームに寄り添えるからこそ、多くの人の心に残る作品を生み出せるんだなと納得しました。

 

荒木さんはまだまだこれからもご自身の理想とする作品を目指して、アニメ制作を続けていくそうです。

セミナー後にお話ししたときも荒木さんは「僕なんか全然なんですよ」と何度も話されるほど、とても奥ゆかしい方でした。きっとチームの皆さんも荒木さんと一緒に働けて幸せなんだろうなと思います。

今回荒木さんの素敵な人柄にも触れることができ、次の作品がより楽しみになりました。

講師プロフィール

荒木 哲郎

アニメ監督・アニメーター・演出家

 

1976年11月5日生まれ。埼玉県出身。

2005年、OVA『おとぎ銃士 赤ずきん』で監督デビュー。

代表作は『DEATH NOTE』、『学園黙示録 HIGH SCHOOL OF THE DEAD』、『ギルティクラウン』、『進撃の巨人(〜season3)』、『甲鉄城のカバネリ』。最新作は『バブル』。

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