採用サイトについてのお問い合わせ・ご相談が増えてきました。
全国的な人手不足と合わせ、企業にとっての採用活動が新しいフェイズに突入しています。
これまでのようにリクナビ・マイナビ一辺倒では解決できない状況ともいえます。
共通の解決策や、「これさえやれば大丈夫」といった近道はありません。
採用活動について一社一社が「自社ならではの取り組み」を改めて構築する必要があります。
容易なことではありませんが、企業がそれぞれの「採用力」を自社に取り戻す時代が来たともいえます。
それでは、なぜ、地方の中小企業こそ採用サイトが必要なのでしょうか。
このブログでは地方の中小企業における採用サイトの必要性と考え方について説明いたします。
中小企業にとって人材獲得がより困難な状況
企業にとって人材獲得は全国的に大きな課題となっています。
リクルートワークス研究所によると下記のような状況です。
来春2019年3月卒業予定の大学生・大学院生対象の大卒求人倍率は1.88倍と、前年の1.78倍より0.10ポイント上昇した。(略)
学生の民間企業就職希望者数は、前年42.3万人とほぼ同水準の43.2万人であり(対前年増減率は+2.1%)、求人に対して、38.1万人の人材不足となっている。
従業員規模別に見ると、300人未満企業(中小企業)では9.91倍と、前年の6.45倍から+3.46ポイントと大きく上昇し、過去最高となった。「大卒求人倍率調査(2019年卒)より」
「300人未満企業(中小企業)では9.91倍」は非常に厳しい状況です。
また、18年卒の内定辞退率が64%と非常に高い数値だったこともすでに報じられています。
これはかなり厳しい数字です。
これまでのやり方を変えることなく、漫然と募集しているだけでは解決できそうにありません。
「問い合わせの獲得すら難しい」という声がJBNにも届いています。
中小企業にとって人材獲得が厳しい環境が今後も続くことが予想されます。
「リクナビ・マイナビをやっていれば何とかなった」が通じなくなり、どの企業においても既存の採用活動を考え直す必要性が大きくなっています。
それではなぜ、地方の中小企業こそ採用サイトが必要なのでしょうか。
採用サイトの必要性
採用サイトの役割は端的にいって、企業理解を深めてもらうことです。
「それならリクナビやマイナビでやっている」と答える方もいます。
しかし、今や学生にとってリクナビやマイナビは検索の場です。
検索の場だからこそターゲットである学生を集客できるのです。
学生は検索の場のコンテンツをあまり読みません。
「(リクナビやマイナビで)検索だけして、コンテンツは見たことがない」という学生も増えてきました。
学生たちは検索で知った企業名から「より詳しく知りたい」ものを選択し、企業のサイトに訪れます。
長野でも多くの企業が学生の集客にリクナビやマイナビを活用していますが、採用サイトを持たず、企業サイトを古いままに放置している会社はまだまだあります。
学生を集めるためにリクナビ・マイナビを使っているのに、採用サイトを持たず、古いまま放置した企業サイトは、わざわざ費用をかけて集めた学生を1秒でとんぼ返りさせています。
JBN調査では、2017年にマイナビを利用している北信地域の企業の90%が採用サイトを持たず、企業サイトの採用情報ページで「詳しくはこちら」とマイナビに追い返していました。
これは集客の費用対効果を考えた場合、明らかにロスです。
「採用サイトがなく、7年前に作った企業サイトのみ」
「スマートフォン対応になっていない」
という状況はそれだけで機会損失です。
特に応募者が集まらず、初めてリクナビやマイナビを試してみる中小企業の方はそれで一安心しがちです。
しかし、費用対効果を最大化するためにも、採用サイトを忘れずに用意することが重要です。
リクナビやマイナビは学生を集めるためのプロモーション活動であり、
採用サイトは集客によって訪れた学生に企業理解を深めてもらうための重要な場です。
それらの役割分担によって、エントリーや説明会参加などの実活動に結びつける必要があります。
採用サイトで企業理解を深めるために重要なのがコンテンツです。
次章では採用サイトのコンテンツについて説明します。
※詳細はこちら
『中小企業は求人倍率が約10倍。内定を出しても6割が辞退される状況で、長野の企業はまず何をすべきでしょうか』
採用サイトのコンテンツ
採用サイトには、その企業で働くことを検討しようと思った人が訪れます。
「どんな仕事があるのか」
「どんな人が働いているのか」
「どんな条件なのか」
「どんな将来性があるのか」
「どんなやりがいや楽しみがあるのか」
求職者は企業について知りたいことがあり、企業は真摯に答える必要があります。
これら問いへの答えが採用サイトの基本コンテンツとなります。
また、検討している段階の学生の何割かには「話を聞いてみたい」「もっと具体的に知りたい」と思ってもらう必要があります。
そのために必要なのが「自社の強み」を明確に伝えるコンテンツです。
数多ある企業の中から
「どうもこの会社が気になる」
「自分はこの会社が向いているのではないか」
「ここなら自分を活かせるかもしれない」
「近いから通いやすいかもしれない」
などの何かしら気になる部分を提供できるかどうかが重要です。
特に、大手企業と比べ競争力に劣る地方の中小企業だからこそ、画一的なコンテンツではなく、「この会社ならでは」を構築する必要があります。
そのアウトプットが採用サイトとなります。
※詳細はこちら
『採用サイトで自社の強みを正しくコンテンツ化するために』
「働く場所としての強み」を正しくコンテンツ化するために
「自社の強み」を言語化する際に注意すべきなのが、「企業側が思っていたアピールポイント」と「学生側が就職時に重視すること」の認識のズレです。
この認識のズレを放置したまま、一方的に自社をアピールするサイト制作を始めてしまうと、本来その会社が持っていた「学生に選ばれる理由」がコンテンツ化されないまま、見た目が新しくなっただけの採用サイトができあがってしまいます。
企業と学生の認識のズレを回避するために大切なのがヒアリングを通した現状把握です。
ヒアリングを重ね、企業側の一方的なアピールではなく、求職者目線での「働く場所としての強み」を見つけ、言語化していくことが非常に重要です。
ヒアリングは大まかに下記の2つに分類されます。
A)採用対象となる学生のヒアリング
B)経営者・部門長・現場スタッフのヒアリング
企業によっては(B)のヒアリングのみで十分な場合もあります。
大切なことは「働く場所としての強み」を発見し、掘り下げ、伝えられるようにすることです。
長野市と上田市で鋼材を扱っている長野鋼材様でヒアリングを重ねたところ、この企業の優位点は「定着率98%」が示す職場としての「働きやすさ」でした。
「働きやすさ」をレビューできるのは社員さんであるはずです。
そこで、「働きやすさ」のレビューとなりうるアンケート設計をし、役員以外の全社員さん31名にアンケートを実施。
そのアンケートから『定着率98%の理由』というレビューコンテンツが生まれました。
長野鋼材様では企業サイトを採用目的のためにリニューアルした上で、初めてマイナビにも出稿し、前年採用ゼロから採用3名の成果を出しました。
企業にとって「働く場所としての強み」は様々です。
社内では当然すぎてすぐには気づかないこともあります。ひょっとしたら思いもよらないことかもしれません。
だからこそ、第三者の視点で改めてヒアリングすることが発見と言語化にとって有効な手段です。
また、「働く場所としての強み」を定義することで、出会うべき人物像も改めて見えてくることがあります。
※詳細はこちら
『定着率98%の理由』をどう可視化するか
求める人物像よりも、入社したいと思う人を探す
採用について、「<求める人物像>を明確にし、よりマッチングの精度を高めましょう」とよく語られます。
しかし、本当にそうでしょうか?
「求める人物像」にあてはまる学生を一生懸命集客しても、そもそも彼らは「その会社に入社したい」という動機を持っていないかもしれません。(また、往々にして企業が設定する「求める人物像」はスーパーマンになりがちで、そもそも実在しない人物かもしれません)
「複数から内定を獲得したけれど、どこに入社しようか」というケースでは、知名度の高い大手企業と比べ、地方の中小企業は勝ち目が極端に薄くなります。
本人は入社を希望しているのに、両親の反対で知名度の高い企業に行ってしまったというケースもよくある話です。
そのようなリスクを避けるためにも、地方の中小企業が出会うべきは「求める人物像」ではなく、「どうしても入社したい」と思う人物です。
簡単に実現できることではありませんが、「どうやって多くの人を集客するか」からスタートするプロジェクトと、「どうやったら自社に入りたいと強く望む人と出会えるだろうか」からスタートするプロジェクトでは取り組みも活動も違ってくるはずです。
また、集客から質へと視点が変わることで「誰と・どのように・どんなタイミングで会うのか?」について協議できるようになります。
それは多様化する募集フェイズに対応するためにも大切な取り組みです。
※詳細はこちら
「欲しい人材」を考える前に。
多様化するタッチポイント
リクナビ・マイナビに掲載していれば学生が集まった時代が終わり、募集フェイズの多様化が加速しています。
学生と企業の接点(募集フェイズ)は多様かつ、複層的になりました。
〇通年採用
1年を通していつでも必要に応じて社員を採用する仕組み。
〇リファラル採用
紹介・推薦を指す「リファラル(referral)」。社員を通して知人・友人の紹介・推薦を得る手法。
〇逆求人型採用
従来の就活ナビとは逆に、学生が「逆求人型就活サイト」などに自己アピールを掲載し、企業側がアプローチする手法。
上記の図のように集客の役割をもつ『募集段階』は多様化しています。
必然的に、リクナビ・マイナビなどの就職ナビの役割は相対的に縮小しています。
これまで、就職ナビ1本で充分だった地方の中小企業はこの変化する速度になかなか追いつけていません。
しかし、社会環境は想像以上の速さで変化し続けています。
地方の中小企業はこの多様化を受け入れながら、自社の採用にどの組み合わせ・バランスが最適なのかを模索する必要があります。
そして、どんなタッチポイントからのスタートであれ、募集段階で企業に興味をもった求職者は、確認・比較検討のために採用サイトを訪れます。
ファーストタッチの募集段階が多様化するからこそ、受け皿となる採用サイトの役割はより重要度が増していきます。
※詳細はこちら
2018年は採用サイトの役割がより重要に。
採用活動におけるインターネット活用のポイント
採用活動におけるインターネット活用は下記4点が基本的なポイントとなります。
特に採用サイトを未だお持ちでない企業は重要課題として取り組まれる必要があります。
1)募集フェイズの多様化はすでに加速している
2)今までのように就職ナビ1本では縮小スパイラルに陥る (特に地方の中小企業は高リスク)
3)自社の募集活動はどんな組み合わせが最適なのかを模索する必要がある
4)全ての受け皿となる採用サイトの役割は今後もより重要度が増す (採用サイトを持たない企業は重要課題)
採用サイトの役割は「集客」ではなく、「興味をもって訪れた人の理解を深めること」です。
そして、具体的な入社動機を高め、エントリーや面接に向けて、よいパスをつなぐことです。
大手企業と比べ、応募者一人あたりの重要度が高い地方の中小企業は、より意識的に採用サイトを活用する必要があります。
JBNでは長野県企業の採用活動について、Web活用の面からお役に立つべく活動しています。
採用サイトについてご相談・お問い合わせはお気軽にご連絡ください。(稲田)