「ナーチャリング」とか「温度感」とか、中身のない言葉だけで話される議論は無意味。
— 伊藤佑介 @Sensesマーケ担当 (@liva_mazrica) November 13, 2019
メールが送られてきたりするだけで本当に「ナーチャリング」されるのか?
顧客がなぜ購買プロセスの次のステップに進めないのかを徹底的に考えないといけないというのが最近のテーマ。
この方のツイートを見て、「ぼくもそう思う」と思いました。
特に
メールが送られてきたりするだけで本当に「ナーチャリング」されるのか?
この一行には大いに同意です。
製造業のユーザーは本当に「ナーチャリング(見込み客の育成)」をされるのでしょうか。
ぼくはこの言葉を聞くと、いつも落ち着かない気分になります。
また、最近では「そもそも受注は製造業サイトのゴールじゃないよね…」と考えるようになっています。
BtoBサイトのゴールの一つは
- 営業セクションの課題や目標に
- 貢献できる見込み客/既存客情報の
- よいパスが出せること
ではないだろうかと。
つまり、製造業のWeb運用で行うことは「ナーチャリング(見込み客の育成)」ではなく、
敢えて言えば「顧客情報の分類」でないだろうかと。
「顧客情報の分類」
- BtoBの営業部目標 or 課題を「A、B、C」と分類し
- MAやメールマーケティングで
- 見込み/既存客の反応を得て
- 顧客を「A、B、C」に振り分ける
- 振り分け後に、反応度が高いユーザーを選別し
- 営業部に提供する
BtoBサイトの役割は
「購買プロセスを追うこと」ではなく、
「顧客をジャンル別/反応別に分類し、営業活動の効率化に貢献すること」ではないだろうか。
と考えるようになりました。
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「だから、それがMAのナーチャリングでしょ」と突っ込まれるかもしれないのですが、やっぱり「購買プロセスを追う。そのための育成」という捉え方に、製造業サイトにおいては違和感があります。
「目的は営業活動の効率化。そのための良質なパス。そのための顧客情報の分類」という捉え方が製造業サイトにしっくりくるのではないでしょうか。
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上記はいわゆる製造業系のBtoBで、SaaS系はその限りでないかと。
ぼくはSaaS系の営業的Web活用についての知見を持っていません。
ですが、個人的にはSaaS系のWebサイトで資料をダウンロードし、五分以内に電話がかかってくることはよく体験しています。
おそらく、製造業と比べるとSaaS系は対応できる業界や業態が広く、分母が巨大なので、「ユーザーアクションがあったらすぐ電話」が有効なのかもな…と推測してます。
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比べて、いわゆる「ものづくり」の製造業は基本ニッチな世界です。
ニッチな世界では分母も小さいので、「すぐ電話」「数で結果を」という文脈にはあまりそぐわない。
速度や数より、ユーザーニーズが分類できて、ちゃんと接触できれば、営業の人々のこれまでの経験・専門知識がより活きる世界かと感じています。
もしかしたら、同じBtoBでも「SaaS」と「製造業」はユーザー特性が違うのも大きいのかもしれません。
SaaS ユーザー
- 部門のプロかもしれないが、ITについてはノンプロ
製造業 ユーザー
- その道のプロ
だから、SaaSはノンプロ相手に「ナーチャリング(育成)」する必要がある。
製造業は育成というよりも、「プロ同士の相談の場」という捉え方の方が近い。
という仮説。
(ぼくが「育成」という言葉に反応しすぎなところが多分にあると思いますが、製造業で「ナーチャリング」と聞くとどうにも落ち着かないのです)
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ぼくが、製造業系BtoBで「ナーチャリング(見込み客の育成)」と聞く度にいつも落ち着かない気分になった理由はここか…と思いました。
製造業系BtoBは「ナーチャリング」ではなく「プロ同士の相談の場」。
そのためのマッチング。
そのためのWebサイト。
そのための展示会参加。
そのためのMA活用。
そのためのメールマーケティング活用。
なのではないか…と考え始めています。
これについてはこれからももう少し考えていこうと思います。
何か発見があったらまた書きます。