『検索をめぐる「今」の変化』について
元同僚の松下まぐさんと往復書簡をしたことは前回のブログで書きましたが、その元同僚であり、今は『まぐ.NET』の代表であり、Webアクセシビリティにおける個人的メンターでもある松下まぐさんから、ブログをめぐり、下記の問いが投げかけられました。
これってつまり、みんなのニーズは
— まぐ💃妻は多重人格 (@matsushitamag) November 26, 2019
「検索すること」
じゃなくて
「○○を探すこと」
にあるっていうことですよね。
検索でGoogleを上回ることはできなくても、何かを探すことで上回ることはできそう。
そこにブロックチェーンを絡めると現実的になりそうですね。AIについてはまだ懐疑的ですが。
ということで、以下、松下さんへのお返事です。
テーマは『みんなのニーズは「検索すること」じゃなくて「◯◯を探すこと」なのか?』
半分は「探すこと」だと思います。
そして、その手段として検索一辺倒だった時代が終わりつつあるのかなと思っています。
「知りたい → 検索で探す」
この単純なアクセスルートが変わってきてるんじゃないかと。
例えば、ベイジ枌谷さんのインタビューで印象的だったコメントがありました。
最近、どの企業のWebサイトのログを見ていても、ノーリファラーからの流入割合が以前より多いように思います。これは、ブックマークをする人やURLを直接入力する人が増えているわけではなく、社内メールやチャット内でURLがシェアされて、訪問に繋がる機会が増えているのだと考えています。
「現場が語る、BtoBマーケの最前線~BtoBに強いWeb制作会社が生まれるまで~株式会社ベイジ 枌谷(そぎたに)社長の視点』
印象的な一節でした。
また、以前見た誰かのツイートで
SaaSのサービスでDLするとすぐ電話かかってくるけど、そんなので決めないよね。それより社内チャットでその業界に詳しい人に「これいいよ」って教えてもらったサービスの方にだいたい決まる
という書き込みがあって。 こちらも印象的でした。
つまり
「探すこと」は「決めること」につながっている。
とぼくは思います。
そして、たいてい、「決めること」には負荷が伴う。
誰だって間違えたくないし、失敗したくない。
誰かの評価を得てから「決める」ようにしたいというのは自然な欲求だと思います。
負荷を減らせるので。
「探す」と「決める」
ここを混同しがちですが、実はポイントで。
ユーザーは
「探すこと」はもうインフラとして考えていて
「決めること」に解決を求めている
と考えた方が合点がいくかと思います。
かつては
「知りたい → 検索で探す」
この単純なルートしかなかった
今は
「知りたい → 評判にアクセス → 検索で確認する」
このようにルートが変化していると思われます。
つまり 「決めるための価値」のポジションがスライドしている
旧:検索結果(メーカーが作った情報)
今:評判(社内外のUGC)
Search(検索)から Decision(決定)へ。
みんなの気持ちは動いているのではないでしょうか。
これは、SNSやチャット、グループウェア、SaaSといった各ツールが普及し、どの場面でもコミュニケーションが可能になったことが大きいとぼくは思います。
どの場面でもコミュニケーションできるぼくらは
「探すこと」はもうインフラとして考えていて
「決めること」に解決を求めている
と思います。
なぜなら
「探すこと」は「決めること」であり
「決めること」には負荷が伴う
からです。
だから 【これってつまり、みんなのニーズは「検索すること」じゃなくて「○○を探すこと」にあるっていうことですよね】 という松下さんの問いを聞いて
「右足はそうで、左足はもう次に行ってる」とぼくは思いました。
これからの企業は「自社はどのように決めてもらっているのか」というメカニズムの把握から、「それをどう強化すればよいのか」という仮説と検証の作業に取り組む必要があるかもしれません。
その視点からも、ふっきさんによる「エクスペリエンスがCからBへ逆流する」という指摘は遠い未来の話ではないんじゃないか。と思っています。
これが最近私がよくいってることです。エクスペリエンスがCからBへ逆流する。 pic.twitter.com/5vkadV8Mvw
— ふっき (@fukkyy) November 24, 2019
BtoC から、CtoB へのモデル転換。
あるのか。ないのか。
未来は確定していませんが、変化はすでに起きている。じゃないか。と思っています。