Webサイトの活用方針のまとめかた

Webサイトの活用方針のまとめかた

目次

本記事では、自社のWebサイトのリニューアルを任された広報、システム、マーケティング、総務担当の方に向けて、事業に貢献するWebサイトを構築するために、どのようなプロセスで方針をまとめていけば良いか、その方法を解説しています。

自社でWebサイトのリニューアルプロジェクトの話が持ち上がった際に参考にしてください。

なぜ、方針が必要なのか?

通常、Webサイトのリニューアルプロジェクトは、社内で抱える問題を解決するためにスタートすることが多いのではないかと思います。例えば、「新製品をもっと告知したい」「人材を採用したい」「デジタル活用を推進したい」「見込み客を獲得したい」など、さまざまなきっかけが考えられます。

これらの問題は、特定の立場やポジションから発せられるニーズや痛みに基づく問題であることは間違いありませんが、同時に、組織上のすべての問題とは言い切れないことを理解しておく必要があります。このため、きっかけはあるにせよまずは全社のニーズを一度テーブルの上に広げ、方針としてまとめておくことで、今回は、なんのためにリニューアルを行うのか組織内で納得が高まります。また、発注先に方針を共有することで、提案の質が高まったり、精度の高い見積もりが期待できます。

他にも、Webサイトの成果には情報コンテンツの生産が必要ですが、営業資料や技術資料の提供、広報ネタの提供、顧客への実績掲載依頼、採用インタビューの対象者としての出演のお願いなど組織内の多くの人の協力や関わりが必要になります。これらをスムーズに行っていくためにも、サイトの活用方針をまとめ、全社に共有することはプロジェクトを進める上で意味のある取り組みです。

方針を共有せずにリニューアルすることはもちろん可能ですが、経験値として多くのWebのリニューアルプロジェクトは問題を抱える傾向にあります。

方針を決めておかないと起きる問題

では、Webのリニューアルプロジェクトで方針が決まっていないことで起きる問題はどういったことでしょうか?具体例を挙げましょう。

プロジェクトの進行中に、社内のあらゆる要望を受け入れることになる

担当者の多くのみなさんが苦慮されているのが、調整して決まりかかった方向性に対して、思っても見なかった人や部署から横槍が入ることです。横槍を入れる当事者としてみれば、方針を共有されていないため前提が分からず単に意見を言ったに過ぎず、なんの落ち度もありません。しかしこの結果、サイトの構造やデザインを見直すことになったり、ページを追加せざるを得なくなり、プロジェクトの進捗に大きな影響を与えます。またこの結果、想定外の予算や人的リソースを想定せざるを得ない状況にもつながります。

構築や運用に対して社内から協力を得られない

進行中の横槍はWebサイトへの興味という点では、ある意味ポジティブに捉えることもできます。これよりやっかいなのはWebサイトに対しての社内の無関心です。Webサイトは情報発信が前提となるため、構築時もその後の運用も、社内からコンテンツ素材の収集や、ネタの提供など協力を得る場合がほとんどです。方針をあらかじめ共有せずとも制作会社の力によってWebサイトは立ち上がります。しかし、公開時の一瞬の盛り上がり後、その活用や運用がされないただ作っただけの成果にはほど遠いサイトができあがります。

重視すべきコンテンツが定まらない

問い合わせによる見込み客の獲得や、採用希望者の応募など、事業課題にもっとも貢献できるのはコンテンツですが、こちらも方針が定まらないとどのようなコンテンツを優先して提供すべきか明確になりません。会社案内、サービス情報、採用情報、IR情報、広報のための情報など、企業が発信すべき情報の範囲は幅広く、スケジュールやコスト、人的リソースを考えると絞り込みが必要です。

見た目のデザインに固執してしまう

方針が決まっていないことで優先されがちなテーマがデザインです。美しく見た目が華やかなWebサイトに心を惹かれることは確かですが、どんなにWebサイトを着飾ったとしても、課題を解決するために訪れたユーザーの期待に応えるための準備がWebサイトに整っていなければ、事業への貢献は期待できません。

機能に固執してしまう

ポップアップバナー、写真のスライドショー、ユーザーごとの情報の出し分け、レコメンド、チャットボットなど、Webサイトにはさまざまな機能があります。上手に使えば効果を発揮しますが、どんな狙いでこれらの機能を実装するかについての検討なしで機能実装をおこなっても、多くの場合運用上の負荷になるだけで、こちらも事業への貢献は期待できません。

このような事態を回避するためにもWebリニューアルの方針を定め、社内に共有することをおすすめしますが、方針をまとめる前に、まずは、経営サイド、マネージメントサイド、現場サイドなどさまざまな立場の人からwebへの期待値を把握することが大切です。

期待値を把握するためにできること

社内の期待値を把握するために手っ取り早くできることは、ヒアリングです。とはいえ、誰に何をヒアリングすべきか、そう簡単に決められることではないと思います。また、webサイトの役割やできることが前提として共有されていない状況でのヒアリングは難しさもあるかもしれません。まずは、シンプルに以下のポイントを押さえてヒアリングするといいでしょう。

  • webを使って誰に情報を届けますか?
  • どのような情報を届ければ、その人の期待に応えることができますか?
  • 情報提供の結果、事業にどのような影響を期待しますか?
  • 現在のWebサイトはその情報を届けられていますか?ギャップはありますか?
  • 情報を届けるうえでの具体的な改善点や施策やアイデアはありますか?
  • 施策を実施するためには、どのような仕組みや体制が必要ですか?

部門長、現場のスタッフ、それぞれにヒアリングしていくのが良いでしょう。こういったヒアリングの機会がなかなか取れない、なんとなくハードルが高い場合は全社員向けのアンケートを実施する方法もあります。既存の自社サイトを題材に質問形式で問題を指摘してもらいながら、今後どのようなwebサイトにしていきたいか回答してもらう方法です。

例)社内アンケート用フォーム

現場の問題から課題を抽出し優先順位を定める

次に行うべきことは、ヒアリングやアンケートから吸い上げられた内容を整理することです。アンケート結果やヒアリングで得られた内容は、抽象的な話から具体的な話までさまざまなレベルで語られます。

例えば、「デザインが古臭い」「トップページに情報が多すぎる」「営業に貢献できるサイトにしたい」「動画やSNSを活用したい」「学生向けにもっとインタビューを載せたい」などその粒度はばらばらです。語られた内容をテーマが似通った内容でまとめてグルーピングしていきましょう。およそ以下のようなテーマでグルーピングできるはずです。

  • 取引先や顧客への会社案内や製品、サービス案内に関わる問題
  • 見込み客の獲得やマーケティングなど営業支援に関わる問題
  • 既存顧客の問い合わせ窓口、サポートやマニュアル提供など業務効率化に関わる問題
  • 新卒採用や中途採用など人材確保に関わる問題
  • 情報更新の仕組みやセキュリティ上の問題
  • デジタル活用やSNSや動画などのメディア活用に関わる問題

問題が整理されたらどの問題解決を優先するか経営陣へヒアリングを行いましょう。
ヒアリング内容や、アンケート結果のまとめは説得力があります。現場の悩みや課題について、感じたこと、考えていること、今後の解決すべき課題の優先度について中長期的な視点から意見をもらうことが肝心です。

スクリーンショット 2022-10-06 17.21.51※アンケートまとめ例

現場レベルでWebで解決すべき課題と優先度を共有する

経営レベルでwebの方向性や優先順位をまとめたら、部門長を再度集めて現場のニーズと合致しているか確認しましょう。方針についてどのように感じているか、実現可能性はどうなのか?現場のニーズとの違いはどこにあるかなど、経営者を交えないでできるだけ率直に話を聞いていきます。
もし経営者が想定している内容とあまりにもギャップがある場合は、経営層を交える形で改めてインタビューを行う機会を作りましょう。

方針をシートにまとめる

経営レベル、現場レベルで合意がとれたら、Web活用の方針としてシートにまとめます。下記のように3段階に分けてまとめておくのが良いでしょう。

  • 現状認識している課題
  • これを解決する方針
  • 方針を実現するために必要と思われる施策

この時点で重要なことは、どんなコンテンツがいるか、どんなデザインにするかといったWebの具体的な手法としてまとめないことです。まずは、ざっくりWebの使い道を社内で合意することが重要です。
方針をまとめるテンプレートを用意しましたので、必要であればこちらをお使いください。

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まとめ

Webサイトは、解決できることが幅広いがゆえに方針の設定が曖昧になりがちです。予算やスケジュール、人員といったリソースが限られるなか、事業へ確実に成果をもたらすためにどんな目標が適切なのか?プロジェクトの問いの範囲を明確にしてプロジェクトをすすめていきましょう。

JBNでは、Webサイトのリニューアルプロジェクトの目標設定や社内合意形成のための調査報告者制作など、戦略策定に関わる業務をサービス提供しています。気軽にお問合せください。

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