あなたの部署や担当事業にとってCRMはどんな役割を担うべきか。HubSpotとSalesforceを比較して考える。

あなたの部署や担当事業にとってCRMはどんな役割を担うべきか。HubSpotとSalesforceを比較して考える。

目次

HubSpot? Salesforce?

HubSpotのCRMとSalesforceのCRM、それぞれの特徴と比較を情報取得的に扱う前にまず考えるべきは「あなたの部署や担当する事業にとってCRMはどんな役割を担うべきか」です。それは単にデータを集めるだけの箱ではなく「営業活動」「マーケティング戦略」そして「顧客体験」の全体を一貫して最適化するための基盤であるべきです。

ここで立ち止まって考えてみましょう。

顧客体験とは何なのか?
CRMをどのように扱うことがベストなのか?

企業がどのようにCRMを活用するかによってその価値は大きく異なります。

Salesforceを既に導入しているケース

例えばこんな状況を想定してみましょう。あなたの企業ではSalesforceを既に導入しています。しかし、「うまく活用できていない」という課題を抱えているとします。この時点で「なぜそうなったのか?」を掘り下げる必要があります。

Salesforce自体が悪いというわけではないでしょう。
しかし、その柔軟性が裏目に出てしまったのかもしれません。

カスタマイズの自由度が高いが故に現場のオペレーションが複雑になってしまった。あるいは、システムの導入段階で十分なトレーニングや現場のニーズへの適合ができていなかった可能性もあります。

Salesforceは「カスタマイズ性」と「包括的なデータ管理」で際立ったツールです。それ自体は素晴らしい特徴であり、責められることではありません。

とはいえその導入と運用には専門知識とリソースが必要であり、これはしばしば大企業が抱える複雑な業務プロセスと矛盾することがあります。この矛盾が課題の本質かもしれません。また、Salesforceがあなたの企業文化やワークフローと適合していないだけかもしれません。

HubSpotが役に立つケース

一方、HubSpotについて考えてみます。HubSpotは「使いやすさ」と「統合性」を重視しています。この点ではSalesforceとは対照的です。HubSpotの強みはプラットフォーム全体が「マーケティング」「営業」「カスタマーサービス」の活動をシームレスに連携できるよう設計されている点です。これは大企業であっても現場の担当者がすぐに使い始められるような直感的なUIとプロセスが備わっていることを意味します。

ただ、HubSpotにも制約があります。そのカスタマイズ性はSalesforceに比べると限定的です。つまり非常に複雑な営業フローや独自のニーズに対応するには不十分な場合があります。

しかし、ここで疑問が生まれます。

カスタマイズ性がどれほどの価値を持つかは実務によるのではないか?
現場で使われない機能はどれだけ優れていても価値を持たないのではないか?

HubSpotとSalesforceの違い

HubSpotとSalesforceを比較する際に重要なのは、「機能の多さ」ではなく「使いやすさと実用性」でしょう。Salesforceは大企業向けの柔軟なCRMであり、HubSpotはシンプルで現場に馴染みやすいCRMです。

ここで思い返すべきは「あなたの部署がCRMを使って何を達成したいのか」であり、「その目標に対して現場がどれくらいCRMを活用できているか」です。

もしあなたの部署や現場の担当者が日々の業務でCRMを活用できていないことに課題を感じているのであればHubSpotは有力な選択肢になります。一方、Salesforceを十分に活用するためのリソースを改めて確保することができ、現場の適合性を見直すことが可能なのであれば現行のSalesforceを改善するという選択肢も検討すべきです。

このように考えると、「HubSpot? Salesforce?」の選択は単なるシステムの性能比較ではなく、企業全体の運用戦略や文化に対する問いかけになることがわかります。CRMの移行や最適化を考える際には「現場の使いやすさ」と「企業戦略との整合性」が最も重要な要素となるでしょう。

業務にツールをあわせのか。ツールに業務をあわせるのか。

さて、ここでさらに掘り下げてみましょう。CRMやSFA(営業支援システム)を導入する際に、「今の業務にあわせてツールをカスタマイズするのか」それとも「ツールに業務をあわせるのか」という設計方針の選択は極めて重要です。この選択がツールの導入効果や運用効率、さらには現場での定着率に大きな影響を与えるからです。

この点において、HubSpotとSalesforceはまさに対照的な特性を持っています。

業務にシステムをあわせる場合

Salesforceの強み

まず、「今の業務にあわせた設計」を考えます。

この方針を選ぶ背景には「長年培ってきた独自の営業プロセスや特有の要件を重視したい」という意図があるはずです。これは特に歴史の長い伝統的な企業や複雑な業務フローを持つ大企業で見られます。Salesforceの特徴はこうしたカスタマイズ要件に対応できる柔軟性です。

Salesforceの特徴
  • 独自の営業プロセスをそのまま再現するためのワークフロー設定
  • 業界特有の指標を管理するためのカスタムオブジェクトの作成
  • 他の社内システムやデータベースとの高度な統合

これらの機能はSalesforceでほぼ実現できます。製造業であれば「製品出荷データをCRMに連携させて営業がリアルタイムで在庫状況を確認できるようにする」といった高度なカスタマイズが可能です。自由度の高さ、カスタマイズの柔軟性といった「自由度の高さ」がSalesforceの強みだからです。

ただし、ここで考え直す必要があります。
この「自由度の高さ」は「複雑さ」を生み出す要因となります。

現場の要望をすべてシステムに反映しようとすると以下のような課題が発生しがちです。

  • 導入時に多大な時間とコストがかかるシステムが複雑化し、運用負担が増す
  • ユーザーが使いこなすための教育やトレーニングが必要

つまり、「業務にあわせた設計」によってツールを導入するとその後の運用コストや現場での抵抗感が増す可能性が高いのです。

システムに業務をあわせる場合

HubSpotの強み

一方で、「システムにあわせて業務を変える」という選択肢を考えると、HubSpotの設計思想が非常にフィットします。HubSpotは「業務をシンプルにし、ツールに合わせた効率的な運用を促進する」ことを目指しています。

つまり、ツールに従って業務プロセスを調整することで、スムーズな運用が実現します。

HubSpotの特徴
  • シンプルで直感的なUIに基づいた標準プロセスの提供
  • マーケティング、営業、カスタマーサービスが一貫したプロセスで連携する
  • 設計設定や運用が簡単で、IT部門や外部コンサルタントに依存しない

たとえば新しいリードがメールフォームから登録されると自動的に営業プロセスに組み込まれ、その進捗が可視化されます。この一連の流れはHubSpotの標準ワークフローをそのまま使うだけで実現できます。結果として、「すぐに動き出せる」「定着しやすい」というメリットがあります。

ここで疑問を抱くべきポイントがあります。

標準プロセスに業務をあわせることが必ずしも良い結果をもたらすとは限りません。特に既存の業務プロセスが非常に効率的で競争優位性を持っている場合、ツールにあわせることでその強みが失われるリスクがあります。

HubSpotとSalesforce. どちらを選ぶべきか?

では、両者を比較した場合、どのように選択すべきでしょうか?
いくつかの視点から整理してみます。

1. 業務の複雑さ

Salesforce

業務が複雑で現状のプロセスを変えることが難しい場合に適しています。
カスタマイズによって既存の強みを維持したままCRMを活用できます。

HubSpot

業務がシンプルでまたはこれから整備する段階にある場合に適しています。
ツールに合わせることで効率化が実現します。

2. 導入のスピード

Salesforce

初期設定やカスタマイズに時間がかかるため導入には長期間を要することがあります。

HubSpot

初期設定が簡単で、短期間で稼働を開始できます。特に小規模プロジェクトや試験的な導入では有利です。

3. 運用コスト

Salesforce

カスタマイズや運用に専門知識が必要なため、コストが高くなりがちです。

HubSpot

シンプルな設計に基づくため、運用コストを抑えることができます。

4. 現場での定着率

Salesforce

システムが複雑化すると現場での使い勝手が低下し、定着率が下がるリスクがあります。

HubSpot

直感的な操作性により、現場での定着率が高い傾向があります。

HubSpotとSalesforce. 最適解を考える

結論として、「業務にあわせる」か「システムにあわせる」のどちらを優先するかは企業の規模や状況、そしてCRMを導入する目的によって異なります。

業務が確立されておりそのプロセスが競争優位性を支えている場合はSalesforceを導入し、現状の業務フローにあわせてカスタマイズするのが適切です。ただし、この場合でも、カスタマイズに伴うリスクを最小化するために、導入前に十分な計画を立てる必要があります。

業務プロセスをこれから改善したい、または既存のプロセスにこだわらない(もしくはプロセスが社内で確立していない)場合はHubSpotを導入し、標準機能にあわせて業務を再構築するのが効果的です。特に、短期間での導入や部門単位での試験的な運用にはHubSpotが適しています。

また、場合によっては両者を組み合わせることも検討できます。たとえば全社的にはSalesforceを活用しながら、特定の部門やプロジェクトではHubSpotを採用することで両方の強みを活かすアプローチです。

このように、「業務にあわせる」か「システムにあわせる」かという選択は単なる技術的な問題ではなく、組織の戦略や現場の状況に深く関わる決定です。それを理解した上で最適な選択肢を選ぶことがCRM導入の成功に直結するでしょう。

企業全体での活用 or 独立した部署やプロジェクトでの活用

さて、考えをさらに深めてみましょう。SalesforceとHubSpotの違いを「企業全体での活用」と「独立した部署やプロジェクトでの活用」という視点で捉え直してみます。この違いは両者の設計思想や強みが如実に表れる部分です。それがビジネスシーンにどのように影響するのかを考えることで、さらに明確な結論に近づけるはずです。

Salesforceの全社的な特性

まず、Salesforceの全社的な特性について少し考えてみましょう。
Salesforceは組織全体のデータを統合し、部門間のシナジーを最大化することを目的としたCRMです。

たとえば、大規模な製品ポートフォリオを持つ企業が複数の事業部門を横断する形で顧客データを共有し、営業、カスタマーサポート、マーケティングが連携して活動するようなケースです。ここではSalesforceが非常に効果的です。複雑なワークフローや、細かい業界特有のプロセスをカスタマイズする能力もあります。

一方で考えてみてください。

あなたが企業の中の一つの事業部門、たとえば「特定の製品」や「特定の市場」を担当しているとします。その事業部門で独自にWebマーケティングを始め、特定の顧客層に対して直接的な影響を与えたいとします。

ここで重要なポイントは部門単位でのスピード感や自律性です。このような場面ではHubSpotが圧倒的に適している可能性があります。なぜでしょうか。

部門単位での独立性とHubSpotの利点

HubSpotはその設計思想において「シンプルさ」と「迅速な立ち上げ」を重視しています。もし一つの部署が独立した活動としてWebマーケティングを始める場合、以下のようなHubSpotの特徴が非常に役立つはずです。

1. 即座に立ち上げられる環境

HubSpotの強みの一つは初期設定が簡単で、専門的な知識がなくてもスムーズに導入できる点です。

たとえば特定の製品を宣伝するためのランディングページを作成し、そのパフォーマンスをリアルタイムで測定する。このようなタスクはHubSpotでは数時間で立ち上げることが可能です。

営業やマーケティングチームがIT部門に依存する必要がほとんどないというのも大きな利点です。 ここで考え直してみましょう。Salesforceの場合、同様のタスクを実行しようとすると、設定やカスタマイズに時間がかかることが一般的です。部門単位での小規模な活動において、このような時間的コストはプロジェクトのスピードを遅らせる要因になります。

2. Webマーケティングに特化したツール

HubSpotはCRM機能に加えて、マーケティングオートメーションツールが標準で組み込まれています。

  • メールマーケティング
  • ソーシャルメディア管理
  • SEOツール
  • コンテンツ作成ツール(ブログ、ランディングページなど)

これらがすべて一つのプラットフォーム内で連携しているため、マーケティング活動全体を効率的に管理できます。 HubSpotを使えば特定の製品のキャンペーンをターゲット顧客層に届け、その効果を即座に分析することができます。

一方、Salesforceで同じことを行おうとするとMarketing Cloudのようなオプションツールを改めて導入する必要がありますし、その設定も専門的で複雑です。この違いはWebマーケティングをすばやく実行したい部署にとっては非常に重要です。

3. コストとスケールの最適化

考えてみてください。部門単位での活動では、全社的な統合や高度なカスタマイズはそれほど必要ない場合が多いはずです。この場合、HubSpotのシンプルな価格モデルは魅力的です。

Salesforceは大規模組織向けの設計のため、全体的なコストが高くなる傾向がありますが、HubSpotは必要な機能だけを選んで利用できるため、コストを抑えながらも十分なパフォーマンスを発揮します。HubSpotのコストが抑えられる理由は、「使いやすさ」と「必要十分な機能」に焦点を当てているからです。

とはいえ、部門活動が大規模化し複雑化してくるとSalesforceのようなシステムが必要になるタイミングがいづれ来るかもしれません。この点は長期的な計画の中で再評価が必要です。

4. 現場での即効性

HubSpotは現場の担当者がすぐに使い始めることができるという点で優れています。これによりシステムの定着率が高まり、実際に活用される可能性が格段に上がります。一つの部署が独自のマーケティング活動を始める際、現場がすぐに動き出せることは非常に重要です。特に短期間で結果を求められるプロジェクトではこの即効性が大きな違いを生みます。

Salesforceの場合、使いこなすためのトレーニングが必要で現場での定着に時間がかかることがあります。これはシステム自体が高度であるがゆえに避けられない課題です。部門単位での独立した活動では、このような「使い始めるまでのハードル」はできるだけ低い方が望ましいでしょう。

部門単位でHubSpotを採用するシナリオ

ここで具体的なシナリオを想定してみましょう。たとえば、あなたの企業が新製品を発売しそのプロモーションを独立した形で行いたいとします。この場合、HubSpotであれば以下のようなフローが簡単に実現できます。

  1. ランディングページを作成し、新製品の魅力を紹介する
  2. ページに訪れた顧客の行動をトラッキングし、見込み客(リード)を特定する
  3. 見込み客に対してパーソナライズされたフォローアップメールを自動で送信
  4. キャンペーン全体の効果をリアルタイムで分析し、必要に応じて戦略を調整

一方、Salesforceを使う場合、同じことを実現するためにはMarketing Cloudの導入やカスタマイズが必要になるかもしれません。部門単位での負担を考えると、HubSpotの利便性があなたにとっての「選ぶ理由」になるかもしれません。

HubSpot? Salesforce? の結論

最終的に下記の二行にまとめられるかもしれません。

  • Salesforce は全社的な運用や複雑な業務プロセスを持つ企業に向いている
  • ひとつの製品やサービスにフォーカスした部門単位の独立した活動ではHubSpot が適している

HubSpotの「シンプルさ」「スピード」「使いやすさ」は特製の製品やサービスで成果を求める活動において大きな力を発揮します。HubSpotを部門単位で導入し活用してみることで、企業全体のCRM戦略の再評価にもつながるかもしれません。

部門単位やサービス単位でのHubSpot導入と企業全体の変革

特定の部門やプロジェクトに焦点を絞ってHubSpotを導入し、CRMを活用するアプローチは以下のような状況が想定できます。

  • 新製品やサービスをマーケットに投入し、専用のマーケティングおよび営業プロセスを立ち上げる
  • 特定の地域や市場における営業チームが独自の活動としてCRMを活用する
  • 部門ごとに異なる顧客ターゲットやプロセスに対応するため、柔軟かつ迅速にCRMを運用する

ここで重要なのはHubSpotがスモールスタートを支援するのに非常に適したツールだという点です。部門単位でCRMを導入する場合、初期コストが抑えられ短期間で運用を開始できるHubSpotの強みが活きます。

HubSpotとSalesforceのハイブリッド運用という選択肢

この考えを進める中でひとつの選択肢が浮かび上がります。それはHubSpotとSalesforceをハイブリッドで運用するというアプローチです。

1. 部門単位でHubSpotを導入し、現場スタッフが実践的に運用

HubSpotを活用して部門単位の活動や新製品のプロモーションを効率化します。その成功事例を元に全社戦略に適応可能な要素を抽出できるかもしれません。

2. Salesforceでの全社統合を維持

既にSalesforceが全社的に導入されている場合、そのデータ統合能力やカスタマイズ性を活かしつつ、HubSpotで得られた現場の成功事例を組み込んでいく形が理想的です。

3. 必要に応じて社内に拡張

HubSpotの運用が特定部門に限定されていたとしても、その運用の成果が評価されれば、他部門へのHubSpot導入を検討する余地が生まれます。現場はHubSpot、統括はSalesforceといった役割分担を段階的に進めていけるかもしれません。

HubSpotを改善や変革の「触媒」として活用する

HubSpotを部門単位で導入することは「企業全体のCRM戦略を再評価するための触媒になり得る」ということです。HubSpotの「シンプルさ」「迅速な導入」「現場での使いやすさ」が全社的なCRM戦略の課題を浮き彫りにし、より現場重視の改善を促進します。

既存のSalesforceを全社統合の基盤として維持しつつ、HubSpotを補完的に活用することで、企業全体の柔軟性と効率性を両立することも可能です。このアプローチは特に現場のニーズを尊重しながら全社戦略を最適化したい企業にとって理想的な選択肢となるでしょう。

株式会社JBNがHubSpotを得意とする理由

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画像 195HubSpotが定める認定プログラムは5段階に設定されています(パートナー、ゴールド、プラチナ、ダイヤモンド、エリート)。国内6社のプラチナパートナーにJBNは選定されています。

 

 

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