旧Pardot(Account Engagement)からHubSpotに移行するメリットと注意点
目次
「高額なツール費用を払っているのに、結局メルマガ配信しか使っていない」
「機能を使いこなせていないと感じつつも、月額数十万円の費用がかかることのプレッシャー」
Webマーケティングを担う担当者様にはこんなジレンマを抱えている方も多いのではないでしょうか。その課題を解消すべく、「Sales Cloud」はそのままに、MA領域を旧PardotからHubSpotに乗り換える企業が増えてきています。
MA領域をHubSpotに変更するという選択肢
現場で運用を続ける中で「ライセンス費用や外注費が掛かりすぎて、事業部予算では費用対効果(ROI)が合わない」「複雑さを維持したため操作が難しく、施策のスピード感が落ちてしまう」という問題があるようです。
ここで一度、胸に手を当てて考えてみてください。
「現在の施策において、旧Pardotの超複雑な分岐機能を隅から隅まで本当に使いこなしているか?」
もし答えが「No」であれば、オーバースペックな機能を持て余して高い維持費を払い続けるより、現場の担当者が毎日直感的に使い倒せるHubSpotに乗り換えた方が効果を期待できます。
全社基盤であるSales CloudをSFAとして使い続けることは絶対条件。しかし、事業部の裁量でコントロールすべき「MA領域」のコストと運用負荷は一刻も早く見直したい。施策の試行錯誤(PDCA)を回すスピードをもっと強化したい。Webマーケティングの実行力を高めたい。
そんな「システムと現場の板挟み」に悩むリーダーにとって、現実的な選択肢が「MA領域をHubSpot Marketing Hubへ移行し、SFAのSales Cloudと連携させる」という手法です。以下では旧PardotからHubSpotへの移行にあたって浮上する「5つのクエスチョン」を取り上げます。
HubSpotへの移行に関連する5つのクエスチョン
- そもそも旧PardotからHubSpotへの移行は可能?
- HubSpot Marketing Hubに移行するメリットは?
- HubSpotが得意なこと。苦手なこと
- 移行で失敗しないための3つの注意点
- この移管プロジェクト、ベストな相談相手は?
1. そもそも旧PardotからHubSpotへの移行は可能?
旧PardotからHubSpotへの移行は十分に可能であり、むしろ現在のBtoBマーケティングにおいて非常に有力な選択肢です。最大の懸念点である「Sales Cloud(SFA)との連携」についても、HubSpotはSalesforce専用の高機能な標準コネクターを提供しています。これにより、リード情報の同期や商談ステータスの共有、キャンペーンの紐付けなどをシームレスに継続できます。
SFAはSalesforce、MAはHubSpotという黄金セット
「SFAはSalesforce、MAはHubSpot」という構成は多くの成長企業が採用している「黄金セット」です。 移行にあたっては、スコアリング設定や自動化シナリオ(Engagement Studio)の再構築が必要ですが、HubSpotの直感的なUIで必要な実務も習得しやすい環境になります。旧PardotからHubSpotへの移行は高額なコストを抑えつつ、施策のスピードを高める「攻めの移行」と言えるでしょう。 貴社において、現在のPardotで組んでいる「複雑な自動化シナリオ」の中で、特に移行時に再現したい重要なステップはありますか?
2. HubSpot Marketing Hubに移行するメリットは?
最大の利点は旧Pardotで障壁となっていた「操作の複雑さ」からの解放です。HubSpotは直感的なUIに徹底してこだわっており、LP作成やメール配信、シナリオ構築も専門知識なしで完了できます。これにより、制作会社や情報システム部門への「依頼待ち」というタイムロスが消え、思いついた施策をその日のうちに実行できる体制が整います。
浮いた予算と時間を本来の目的(リード獲得や商談創出)に集中できる
また、Salesforce(Sales Cloud)との親和性も極めて高く、SFAのデータを活かした高度なパーソナライズが容易になります。高額なライセンス料を「ただのメルマガ配信」に費やすストレスから脱却し、浮いた予算と時間を本来の目的であるリード獲得や商談創出に集中できる。この「ROI(投資対効果)の健全化」こそが、乗り換える最大の価値です。
3. HubSpotが得意なこと。苦手なこと
HubSpot、旧Pardot、両者の得意・不得意をフェアな視点で比較してみましょう。
HubSpotが得意なこと(旧Pardotが苦手なこと)
直感的な操作による「施策の高速実行」です。HTML知識不要のドラッグ&ドロップ操作で、LP作成や複雑な自動化シナリオ(ワークフロー)を悩まず構築できます。また、Salesforceとの高度な標準連携により、SFA側のデータをトリガーにした柔軟なパーソナライズ配信も得意分野です。『HubSpot Marketing Hub』にはブログ機能やSEOツールも内包されており、コンテンツマーケティングからリード獲得までを一貫して管理できるのが強みです。
HubSpotが苦手なこと(旧Pardotが得意なこと)
Salesforceと同じ基盤上で動く旧Pardotは数十のカスタムオブジェクトを複雑に絡め合わせた「高度な条件分岐」や、「複雑な担当割り当て設定」などを得意とします。一方、HubSpotはこのような「多重階層のデータ構造」の再現はあまり得意ではありません。Salesforce側でカスタムオブジェクトを複雑に組み合わて管理している場合、HubSpot側への完全な同期には上位プランや高度な設定が必要です。また、HubSpotは「使いやすさ」を優先した設計のため、ソースコードを極限までいじり倒すような特殊なカスタマイズには制約が生じる場合があります。
4. 移行で失敗しないための3つの注意点
旧PardotからHubSpotへの移行をスムーズかつ安全に成功させるために守るべき3点をピックアップしました。
1. 徹底したデータクレンジング
長期間反応のない休眠リードまで移行すると、HubSpotの契約コストを無駄に増やします。移行を好機と捉え、価値のあるアクティブな顧客データを選別することがROI(投資対効果)を最大化する第一歩です。ちゃんと大掃除してから引越ししましょう。
2. 評価モデル(スコア・グレード)の再定義
旧Pardot特有の「スコア(行動)」と「グレード(属性)」の2軸管理はHubSpotにそのまま移行できません。HubSpotのリードスコアリングを活用し、属性と行動を組み合わせたよりシンプルで実践的な「新しいスコアモデル」へと翻訳・再設計することが不可欠です。
3. 自動化シナリオの徹底的なスリム化
旧Pardotの複雑なEngagement Studioをそのまま再現しようとせず、成果に直結するステップだけを抽出し、HubSpotの「ワークフロー」で再構築してください。この「引き算の設計」こそが、移行後の運用を劇的に楽にする最大の秘訣です。
5. この移管プロジェクト、ベストな相談相手は?
このプロジェクトの理想的な相談相手は「SalesforceとHubSpotの両方に精通したパートナー」です。
HubSpotに詳しいだけのベンダーでは既存のSales Cloud側にある複雑な商談プロセスやデータ構造を理解できず、連携後にデータが壊れたり、営業現場に混乱を及ぼすなどのリスクがあります。同じく、Salesforceだけに強いベンダーではHubSpotの最大の利点である「運用の柔軟さ」を活かしたスリムな設計ができません。
ベストな相談相手は、「両ツールの仕様差を熟知し、現状の業務フローをHubSpot流に『翻訳・再設計』できる実装力がある支援会社」です。HubSpotに認定されたパートナー企業 がこれに該当します。技術的な連携ミスを防ぐだけでなく、コスト削減と運用負荷の軽減も期待できるのがHubSpotのパートナー企業です。あなたの会社が目指すべきゴールに向かって伴走してくれるパートナーに相談するのが一番です。
まとめ
ツールに縛られる日々を終え、マーケティングの主導権を取り戻す
全社的な基盤であるSales Cloudの堅牢なSFA機能を活かしながら、MA領域を旧Pardotから「HubSpot Marketing Hub」へ切り替える。この選択は単なる固定費の削減や操作性の改善に留まりません。複雑性ゆえに発生していた時間と費用を本来の目的である「施策の実行」へと転換する極めて合理的な決断です。
HubSpotへの移行により、外部発注や情シス部門の工数待ちというボトルネックが解消され、マーケティング組織が持つべき「思考のスピード」と「施策の機敏性(アジリティ)」を最大限に引き出すことが可能になります。
ツールに振り回される日々を脱却し、マーケターが本来注力すべき「顧客との良質なコミュニケーション」に専念するために必要な環境整備とも言えます。Sales Cloudとの高度な連携を維持しつつ、現場が主役になれるHubSpotへの移行をぜひご検討ください。