価値ある情報とは何か?

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インターネットが普及した現在、企業や組織が発信する情報はますます重要になりつつあります。とくに、マーケティングやブランディングにインターネットを活用しようと考えるなら、情報は必須です。しかし、多くの担当者は情報を生産することに消極的です。これはなぜでしょうか?
情報生産に手間がかかるということはもちろんあるのですが、企業担当者にヒアリングをおこなうと「私達が発信できる情報は、自分たちの業界においては当たり前であり、発信する情報に価値があるとは思えない」という理由が多いようです。企業が発信する情報は、誰にとっても当たり前のものに過ぎず、本当に価値がないのでしょうか?
価値ある情報とは、受け手と対象との距離で決まる
そもそも情報の受け手にとって、価値ある情報とはなんでしょうか?
まず、すでに知っていることは価値ある情報にはなりません。たとえばAmazonをもっと活用したいと考えている会員に向けて「会員になると送料が無料になる」という情報を発信したとしても、当たり前すぎて誰もその情報に価値を認めることはないでしょう。また、内容と受け手があまりにも遠く離れ、疎遠である場合も、価値ある情報にはなりません。「Amazonを脅かすツールとしてshopify※が注目されています」という情報はAmazonを活用しようとしている会員の興味関心とかけ離れすぎており、価値ある情報になることはないでしょう。
※shopify・・・Shopify社のeコマース用のプラットフォームのこと
知っているような、知らないような程よい情報が価値になる
このように「すでに知っている」「あまりにもかけ離れている」情報は価値にならないという前提に立つと、必然的に「知っているような、知らないような」程よい情報に価値があることがわかります。
たとえばAmazonを活用しようとしている会員への適切な情報とはなんであるかを考えたとき、「Amazon Kindleで購入した電子書籍は他のKindleユーザーに貸し出すことができる(amazon.comで購入したKindle本)」という情報は価値が高いといえると思います。
情報の価値は受け手の状況に依存する
他にも情報が価値をもちそうな状況を想定してみましょう。会社に入ったばかりでそれほど学習段階が進んでいない人にとっては、取引先の商品の基礎知識は価値ある情報になるでしょう。また、業務改善のためのサービスを検討時に、課題解決の方向性について理解し、必要な要件整理がおこなえているとすれば、複数のサービス比較が価値ある情報になるかもしれません。このように、誰かにとって「知っているような、知らないような程よい情報」は、情報の受け手の状況に大きく依存することがわかります。
つまり、価値ある情報を提供するためには、情報の受け手はどのような立場であるか、意思決定においてどういった段階にあるのかイメージすることが必要です。言い換えるなら「誰に対して、どんな情報を、いつのタイミングで、どのような手段をもって提供するのか」これらを整理することが価値ある情報を生み出すためには欠かせないのです。
目の前の顧客一人ひとりの個別の状況に目を凝らす
冒頭の問いに戻りましょう。
「企業が発信する情報は、誰にとっても当たり前のものに過ぎず、本当に価値がないのでしょうか?」
そんなことはまったくありません。
何らかの商品やサービスを提供しており、顧客が現に存在するということは、購入や、問い合わせといった行動を後押しする情報コミュニケーションが求められています。その人たちはどのような人であるのか。目の前の顧客一人ひとりの個別の状況に目を凝らし、情報を適切に提供することで行動につなげていくことができます。
こういった意味から考えると「私達が発信できる情報は、自分たちの業界においては当たり前であり、発信するコンテンツに価値があるとは思えない」という担当者のコメントは、「提供すべき受け手の状況を解像度高くイメージできていないため、どのような情報を発信すれば良いか分からない」と言い換えることが出来るかもしれません。
参考文献
- 情報生産者になる - 上野千鶴子 (著) - 2018/9/6 筑摩書房
- ほんとうの「哲学」の話をしよう - 哲学者と広告マンの対話 - 岡本 裕一朗 (著), 深谷 信介 (著)2019/9/14 - 中央公論新社

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