オンラインでの活動の需要が高まっているなかで、営業活動に特化したWebサイトである「マーケティングサイト」は企業が見込み客との接触ポイントを増やしたり、関係構築に役立ちます。企業の歴史や概要、事業内容など全てのステークホルダーに向けて情報発信を行っている「企業サイト」に比べ、マーケティングサイトはよりテーマやターゲットを絞ったWebサイトになっています。
マーケティングサイトを新たに立ち上げるプロジェクトを進めていく中で、マーケティング担当者は時折、経営陣からテーマを絞ったマーケティングサイトではなく、より多くの情報を掲載した企業サイトに変更してほしいという要請を受けることがあります。
マーケティングサイトの構築プロジェクトを進めるなかで、経営陣の意見は非常に重要です。しかし、経営陣がマーケティングサイトの重要性や必要性を十分に認識していない場合や、Webサイトからの成果を疑問視する状況下では、プロジェクトを円滑に進めることが難しくなります。
本記事では、営業に特化したマーケティングサイトが経営陣の声で企業サイトに変容してしまう要因と、それを未然に防ぐためにマーケティング担当者が気をつけるポイントについて述べていきます。
マーケティングサイトが経営陣に受け入れられない要因
マーケティング担当者と経営陣では企業活動で見ているレイヤーに差がある
経営陣とマーケティング担当者では、見ているレイヤーや視点が違うということが一つの原因です。経営陣は社員や地域、外部のビジネスパートナー、将来の採用など、多くのステークホルダーの存在を意識して経営しています。また、歴史のある企業ほど、配慮すべき事柄が増えてきます。経営者は常に広い視野で企業の未来を見据えているため、企業活動の一側面である事業利益を最大化する目的としてのマーケティングサイトだけでは情報が足りないと感じてしまうのかもしれません。
経営陣はWebマーケティングついて知識がない
経営陣はWebサイトに特化した知識を持っているわけではありません。経営陣は様々な経営上の課題に目を向ける必要があり、マーケティング担当者に比べてWebサイトを活用したマーケティング活動や営業活動に関する解像度が低いことがあります。そのため、テーマを絞ってアプローチするマーケティングサイトよりも、幅広い情報を掲載した会社案内サイトの方が経営陣にとっては魅力的に映ることもあります。
Webマーケティングで成果が出るのか懐疑的である
Webサイトを使ってビジネスを行い、成果を上げることに対して経営陣が懐疑的な姿勢を持つことがあります。特に長い歴史を持つ企業では、リアルな営業マンが直接仕事を獲得することが一般的であり、Webサイトに転換して売り上げや成果を出せるのかという疑問が生じることもあります。また、成功事例を知らないことから、Webでのマーケティング活動に対して具体的なイメージができていない場合もあります。
以上のような理由から、経営陣はマーケティングサイトに関する情報や知識を十分に持っていないことなどを担当者は前提として理解し、そのギャップを埋めていく必要があります。
経営陣の合意を得てプロジェクトを円滑に進めていくためのポイント
経営陣との間で「なぜ、Webマーケティングに投資するのか」の理由と目的を共有する
マーケティングサイトを立ち上げる前に、担当者は経営陣との間であらかじめプロジェクトの目的やテーマを共有することが重要です。経営陣の期待や要望を理解し、それをマーケティングの視点や戦略と結び付けるための議論を行いましょう。定期的に進捗共有も行い、全体の進行状況を把握し合うことも大切です。プロジェクトを進めていくうちに議論が様々な方向に広がることがありますが、目的やテーマを共有し、情報が正しく伝達されるようにすることで、元々の意図に立ち返り、スムーズにプロジェクトを進めることができます。
マーケティングサイトの全体像を丁寧に説明する
経営陣に、Webサイトの全体像を把握してもらうことも非常に重要です。マーケティングサイト、会社案内サイト、サービスサイトなど、様々な種類のWebサイトがある中で、それぞれのサイトの役割や相互の関係性を理解することで、自社の事業課題を解決するためにどのWebサイトが最適なのか、そしてどれを最優先すべきなのかを判断できるようになります。
Webマーケティングによる成功事例を示す。また実績のある制作会社をパートナーに選ぶ
Webマーケティングによる具体的な成功事例を経営陣に提供したり、実績のある制作会社をパートナーに選ぶことも適切な方法です。Webマーケティングにおける過去の成果や類似業界の成功例を示したり、制作会社の実績や顧客の満足度を示すことで、Webマーケティングに対して懐疑的な場合でも、Webサイトがビジネスに与える影響や可能性をイメージしやすくなります。
まとめ：プロジェクトを成功に導くには、経営陣の立場や知識のギャップを理解した丁寧なコミュニケーションが重要
以上のように、マーケティング担当者と経営陣の間には様々なギャップがあります。それを前提として理解したコミュニケーションをとることがプロジェクトをスムーズに進め、成功に導くために欠かせません。そのためにも、マーケティングサイトを制作する際はプロジェクトの目的を正確に定め、それらをより丁寧に説明することを心がけましょう。
また、経営層とのコミュニケーションやプロジェクトをスムーズに進めていくためには、制作会社選びも非常に重要です。
通常、制作会社はクライアントの要望を受けてWebサイトを制作しますが、その際に社長と直接会って企業の全体像やビジネスの目的を詳細に理解し、それに基づいて目的設定を行うという制作会社は多くはありません。一般的に目的設定はWebコンサルタントなどが専門的に担当するため、制作会社だけでは社長の意図やビジネスの課題を完全に理解し、目的を明確にすることが難しい場合もあります。しかし自社の事業課題に最適なWebサイトを制作する際には、自社の立場や目的をしっかりと理解し、それに合った情報設計や機能を盛り込む必要があります。
そのため、制作だけでなく、Webサイトの運用も含め、総合的なサポートができる制作会社を見つけることで、経営陣との合意や明確な目的設定を含めスムーズなプロジェクトの実現に役立つでしょう。
