【お客様の声】海外からの問い合わせも引き出したDX化。自分たちのサービスが、広く世の中に伝わる手応え。
目次
長野県農村工業研究所様の概要
長野県農村工業研究所は長野県産農産物の研究・技術開発を行うJAグループの研究機関です。
酵素剥皮(はくひ)や乾燥加工といった特許技術を活かし、産地と密着した技術力や開発力を県内JAや企業などに提供しています。JBNでは長野県農村工業研究所のコーポレートサイトリニューアルとサイト運用に携わっています。
- 公開日 2022年3月31日
- プロジェクト期間 約6ヶ月
- URL https//www.nokoken.or.jp/
- プロジェクトの概要はこちらをご覧ください
社会的な役割を周知し、マーケティングに寄与するコーポレートサイトの構築
POINT-1:お客様が求めているのは「対応レスポンス」でした
電話とFAXと紙とホワイトボードによるお客様とのコミュニケーションを、HubSpotのCRM機能で統合。その結果お客様の満足度を大きく向上させながら、同時に社内の業務改善を実現することに成功。
POINT-2:トルコからも問い合わせが来た!新マーケティングサイトの実力
Webでの情報発信の仕様を全面的に見直した結果、想定したターゲット以外のユーザーからの問い合わせも発生した。ニッチなサービスや特殊な技術情報でも、それを求めているユーザーに届きさえすれば、当研究所の技術が広く社会の役に立つことが証明された。
インタビュー
話し手
農業開発研究部 上席研究員 滝沢 潤さま
聞き手
JBN ディレクター 佐藤 香奈(マーケティング支援担当)/近藤 祥公(Web制作ディレクション担当)
紙とホワイトボードからオンラインへ
佐藤 WebサイトをリニューアルしてHubSpotを導入し、運用を開始して2年が経ちました。今日は「対応スピードアップのための業務改善」と「マーケティング活動」という2軸で話をお聞きします。まずは業務改善についてうかがいたいんですが。
滝沢 なんでも聞いてください。
佐藤 当初はどんな点を改善したいとお考えでしたか。
滝沢 うちはJA長野県グループの研究機関として、キノコの品種開発や、農産物加工の技術開発、食品に関する検査・分析などをやっています。たとえば栄養成分の分析のご依頼をいただく場合、以前のホームページでは問い合わせを受けられなかったんです。
※以前のホームページ
ホームページにある電話番号にかけていただいて、担当者が話をうかがって、はじめての方にはできるかできないか、いくらかかるかご説明をして、納得いただいたら、ひな形に沿って依頼書を書いてFAXで送ってもらう。そこから検体が届くまでに1週間、さらに分析結果をお出しするまでに1か月ほどかかっていました。せっかく電話をいただいても「担当者がいないのでわかりません」で止まってしまうこともありました。
今はホームページのフォームからお問い合わせいただけば、出張先でもすぐに返せます。お客さんはホームページを見て今、聞きたいと思ったはずだから、できるだけ早く返してあげたい。そう思って、レスポンス良く返すように心がけています。
近藤 素晴らしいですね。以前は紙とホワイトボードでやっていたんですよね。
滝沢 そうです。だから情報が紐づいてこない。検査・分析はリピーターが多いのですが、検査結果は印刷してファイルしていたから、次に問い合わせをいただいても、さがし出すのにひと苦労でした。
今はHubSpot上でデータ管理ができるので、以前の内容と照らし合わせて「前回はこうだったから、今回はこうしましょうか」という提案も含めて、やりとりが非常にスムーズです。
JBNのサポート内容①(ユーザー対応業務の抜本的見直し)
ユーザーからの問い合わせや分析依頼などへの対応方法を抜本的に見直すための、業務の再設計を支援した。
具体的には、HubSpotのCRM機能を最大限活用し、ユーザーからの依頼を取引パイプラインを軸に管理できるよう業務フローを改善。
従来の問題点
ユーザーとのコミュニケーションはメールやFAXなどで、案件の全体像が把握しづらく、時間も手間もかかっていた。
見直し後の具体的成果
ユーザーとのコミュニケーションが連続的なものとして確認されるようになり、今どの段階に来ているのかが全体像のなかで管理できるようになった。
ユーザーとのやり取りが、担当者個人のみに限定されず、関係者が共有できるようになった。
海外出張中でも状況をリアルタイムで把握し、ユーザーの要望に組織的に対応できるようになった。
事例は分類してHubSpot上にストックされ、以降の事案に有効活用されるようになった。
結果として業務レスポンスが上がり、ユーザーの満足度向上と、当研究所の業務効率向上を同時に実現できた。
24時間365日商談中の営業マンがいるようなもん
滝沢 見積もり作成もHubSpotで一貫してできるので、今は問い合わせをいただいてから見積書をお出しするまで24時間以内にできています。分析結果は遅くとも2週間以内に出すようにしています。
佐藤 だいぶ変わりましたね。
滝沢 スピード感が全然ちがいます。研究開発をしながらの対応になるんですが、管理がしやすいので、かなり効率化できています。データ共有ができるので、たとえば僕が出張で不在の時に、ほかの人に分析を頼むこともできます。チームとして動くためのいい道具にもなっています。
あとは何より、ほとんどの方がブログ記事を読んでから、わからないところだけを質問してくださるので、説明がすっごい楽! うちは研究開発が業務なので、営業担当はいないんです。HubSpotは営業マンがひとりいるようなもんで、24時間365日、商談中みたいな感覚です。
近藤 サイトをリニューアルしたことで業務が効率化しただけなく、検査・分析のメリットがお客さまにしっかり伝わっているんですね。
滝沢 うちが扱うのは商品ではなく、技術です。そういう無形のものの強みを、どうやって理解してもらい、お金を払う価値を見出してもらうか。そこをJBNさんにご提案いただいて、うちのセールスポイントをブログで紹介していくというのは、自分にとってはまったく経験値のない新しいやり方でした。
佐藤 組織の中でやり方を変えるのは、難しいことだと思うんです。農工研さんでうまくいったのは、なぜだとお考えですか。
滝沢 うちが強く発信していけるのは、果物の乾燥や酵素剥皮で特許技術があること。機能性成分の分析ができること。まずはそこに絞り込んだからだと思います。あれもこれもと欲張らず、まずは動かせるところを動かす。そうでないと問題も要望も見えてこないですから。
佐藤 組織に仕組みが根づく重要なポイントを押さえていらっしゃると思います。
JBNのサポート内容②(発信情報を一般ユーザー目線で分類・再構築)
Webによる情報発信のあり方を、ユーザー目線で全面的に見直し、その再設計を支援した。
従来の問題点
研究成果など、Webで発信している情報が専門家向けの体裁であったため、実用性の高い研究内容であっても、一般ユーザーのニーズとのマッチングがしづらい状況であった。
見直し後の具体的成果
ニッチなサービス分野であるにもかかわらず、想定したユーザー像以外からも問い合わせが届くようになった。
果物の乾燥などの分野は、海外での需要が高いという背景もあり、海外からの問い合わせも生まれつつある。この点は想定外の効果であった。
意見を出し合い一緒に作り上げてきた
佐藤 リニューアル当初に、こちらからHubSpotでできることをご説明しましたが、滝沢さんの中にも、こんなことがしたいという構想はもともとあったんですか?
滝沢 いや、最初はなかったです。フォームで問い合わせが受けられる程度かなと思っていたら、業務管理までできるじゃん、と。今回のリニューアルは見た目とか表向きなことではなくて、その裏で動いているHubSpotがメインなんだとわかってきて、その場では「ふんふん」と聞いておいて、あわてて勉強しました(笑)。どこまでできるんだろうとお聞きして掘り下げていくうちに、思ったより、はるかに高度なことができるんだとわかりました。
佐藤 一緒にサイトを設計していくなかで、JBNにどんな印象をお持ちでしたか。
滝沢 いや、この人たち、どんだけ調べてるんだろうって思いましたよ(笑)。特殊な分野に対して、なんでこんなに理解が深いんだろうって不思議でした。
やりとりするなかで「ここまで言ってもわからないだろうから」と線を引きそうになるところ、その線を越えた発言が出てくるから、こっちもより深い話をしてしまう。それをちゃんと拾って、また反映してくれる。ひとつのものを作り上げていくために、意見を出し合ってブラッシュアップしてきた。だから一緒に作り上げたという感覚がすごく強いです。
ちゃんとデメリットも言ってくれて、妥協点を見出すためのポイントもしっかりおさえてくれるので、非常に助かりました。JBNのいろんな立場で関わる人たちが、それぞれ農工研を理解して、今どういうところに問題があるのか分析して、そこをクリアするためにビルドアップしていく。そうやってできたのがうちのサイトなんで、それは使いやすいですよね。
近藤 うれしいです。自己肯定感が爆上がり。
佐藤 ほんとに(笑)
滝沢 もう、いくらでも話しますよ(笑)
マーケティング施策で海外へ広がり今後につながる
自分たちの強みを情報発信できるように
佐藤 Webサイトのリニューアルでは、業務効率化と並んで農工研の活動を発信することが軸になりました。リニューアル前の情報発信はどうされていたんですか。
滝沢 今も発行している『農工研通信』という紙媒体くらいでしょうか。以前から年に1回、必ず学会発表するというルールを僕は自分に課してきました。その発表した内容をWebサイトに出したいと言い続けていたんですが、古いサイトは自分たちでは1文字も更新できなかった。干し柿に関する技術開発で安藤百福賞をいただいても、技術協力した商品が新聞で大きく取り上げられても、成果を公的に発表することができなかったんです。
佐藤 JBNからは酵素剥皮 や乾燥技術 を柱にして、滝沢さんたちご自身の手で情報発信するための仕組みをご提案しました。
滝沢 学会発表をしてきた地道な取り組みがようやく生きると思いました。「わかってくれる人がいた!」っていう感じ。きのこ部が行うキノコの育種は農工研にとって重要な研究なんですが、独自の技術という点では、酵素剥皮は従来の薬品を使う方法より安全面でもSDG’sの観点からもメリットは大きいし、長野県では果樹の乾燥技術のニーズは高い。特許も取得した独自の技術があるのに、それを伝えられていなかったんです。
佐藤 ブログでの情報発信というのは、どうお感じになりましたか。
滝沢 書くことに抵抗はないんですが、書き方が全然ちがうなと感じました。確かに、論文じゃないんだから簡潔にまとめたほうが良いし、専門的なポイントはおさえるべき。タイトルのつけ方とか、マーケティングを踏まえてアドバイスしてくれる。その意図がわかって、なるほどなと思いました。
農家・JAやメーカーへASEAN地域や海外へ波及
近藤 当初はまず長野県内のJAに向けて伝えるという目標を立てました。実際は思わぬ方向に広がって…
佐藤 トルコの企業から問い合わせがあったり、ASEAN(アセアン、東南アジア諸国連合)から講師として招聘されたり。
滝沢 2022年4月にサイトをリニューアルしてなかったら、100%なかった展開ですね。トルコへは技術指導に行って、トルコの大学とも農工研が行う様々な研究分野で共同研究につながりそうです。ASEAN地域の大学へ食品分析の指導にも行きました。マレーシアの方がブログを見てくれていて、農水省を介して連絡をくださったり。
佐藤 リニューアルしてから最初の1年で、私はずっとびっくりしていました。
滝沢 僕もびっくりしましたよ(笑)。こんなに動きがあるものかと。サイトを介してできたパイプはどんどん太くなって、国内の大手企業さんとも、酵素剥皮に関して契約締結となりました。それに派生して、試作品製造のために施設をお貸しすることになったり。
乾燥技術については、長野県内からの反応が圧倒的に多いです。ただ、JAさんではなく、農家の方が直接問い合わせてくださるのは想定外でした。農家さんから、うちの技術でやりたいと直接言ってもらえるようになったのはうれしいですね。今は無調味乾燥に関して許諾契約を結んでいるのは県内のみ。それで手一杯の状態です。
食品メーカーさんと乾燥機メーカーさんがうちの技術を介してつながったり、サイトから枝葉が広がって、思わぬ波及効果があるのもありがたい。非常にいい流れができています。
信頼につながり、今後につながる
佐藤 もともと滝沢さんが学会に出ると決めて実行してきたことがあって、その活動とWebサイトでの情報発信がうまくつながるといいなとは思っていました。
滝沢 論文にすれば人の目に触れる機会があるんですが、学会発表だけの場合もあります。そこで概要にだけ触れて、興味をもった人がサイトを見にきてくれたり、農協や企業の方、大学の先生方や大学院生が情報収集のために資料ダウンロードをしてくださる。農工研に興味を持ってもらえて、国内外問わず、ともに技術を進めていく仲間が増えていくなら、こんな良いことはないですよ。
佐藤 履歴を見ると一番多いのは資料ダウンロードです。いわば「見込み客の芽出し」ができている状態。
滝沢 これが「ホームページ見ました」って電話をいただいても、対応しきれないですよね。HubSpotで顧客管理をしながら、満足度を上げることにつながっていると思います。
佐藤 今後の取り組みについて、お考えはありますか。
滝沢 長野県の農産物のおいしい食べ方や保存方法など、研究で得てきた有益な情報を、一般消費者の方にフィードバックできたらいいなと思っています。農工研でやっていることをきちんと公表して、その技術を活用した企業の事業も紹介する。「農工研の技術はすごいんだな、じゃあ相談してみようか」そう思ってもらえることが、研究に携わる僕たち自身のモチベーションを高めますし、「なんか面白いことやってるな」と思ってもらえれば、採用も含めて今後にもつながると思うんです。
じつは個人的に、うれしいことがあって。中学生の息子が地域学習の一環で地元企業のサイトを見て、どういう伝え方が良いのか調べたらしいんです。「農工研のサイト、めちゃくちゃ見やすいね」って(笑)。ほかのサイトも見たけど、いまいち何を言いたいのかわからなかった。「農工研すげーな」って言うから「作ってる人がすげーんだ」って言っておきました。
佐藤・近藤 うれしいです!
滝沢 僕もうれしかったです。中学生にも伝わるんだなって。
長野県農村工業研究所様の概要
長野県農村工業研究所は長野県産農産物の研究・技術開発を行うJAグループの研究機関です。
酵素剥皮(はくひ)や乾燥加工といった特許技術を活かし、産地と密着した技術力や開発力を県内JAや企業などに提供しています。JBNでは長野県農村工業研究所のコーポレートサイトリニューアルとサイト運用に携わっています。
- 公開日 2022年3月31日
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