セミナーレポート|AIを使いこなし、人間らしさで選ばれる。メディアと企業の新しい姿
目次
2026年8月4日、株式会社JBNはHubSpot Japan株式会社との共催セミナー「AIを使いこなし、人間らしさで選ばれる。メディアと企業の新しい姿」を東京都内で開催しました。
100名を超えるメディア企業(新聞社・放送局・専門メディアなど)の方々と事業会社のWeb担当者様が参加いただき、講演後は登壇者や参加者同士でのネットワーキングの時間も設け、意見交換が活発に交わされました。
| 日時 | 2026年8月4日(火) |
|---|---|
| 会場 | 日比谷国際ビルコンファレンススクエア(東京都千代田区) |
| 主催 | 株式会社JBN/HubSpot Japan株式会社(共催) |
| 構成 | 第1部 基調講演 『AI時代に、メディアと企業は「人間らしさ」をどう価値に変えるか』 小林弘人氏(インフォバーン/メディアジーン ファウンダー) 第2部 講演 『HubSpotのコンテンツ戦略とAEOの可能性』 磯野留以氏(HubSpot Japan株式会社) 第3部 統合セッション(公開ディスカッション) 『「誰に?」から始まる、これからのメディア運営』 坂田大輔(株式会社JBN)× 小林弘人氏 × 磯野留以氏 ネットワーキング |
セミナーの概要
AI検索が広がり、検索してもサイトをクリックしない「ゼロクリック」が当たり前になりつつあります。
本セミナーではこの時代にメディアと企業が持つべき力を「語る力(ナラティブ)」「定義する力(AEO)」「理解する力(CRM)」の3つに分類。三部構成でAI時代のあるべきメディアと企業論を語り合いました。
登壇者
- 第1部:小林弘人氏(インフォバーン/メディアジーン ファウンダー)
- 第2部:磯野留以氏(HubSpot Japanブログ編集長)
- 第3部:坂田大輔(株式会社JBN 専務取締役)
セミナー後のアンケートより
- 「AI時代だからこそ独自情報と思想が重要になる」というメッセージを受け取りました。PV中心の評価軸から、読者との関係性や行動変容を測る指標へ切り替えることが大きな示唆になりそうです。(新聞社)
- AI時代にはメディアの独自性がますますカギになると理解しました。より細かい粒度で読者に対応するには、CRM/MAの活用が欠かせないと感じています。(Webメディア)
- 自社のお客様にとって有益な「一次情報」とは何か。それをどう蓄積し、顧客に還元する仕組みをつくるか。改めて考え直す後押しになりました。(事業会社)
- AEO対策を検討し始めたばかりでしたが、本質的な考え方から具体的な手法まで聴けてとても有意義でした。講演後には講師の方に当方の状況をふまえた助言もいただけました。(教育機関)
- セミナーやウェビナーはいまだに「ハズレ」が9割ぐらいですが今日は当たりでした!(事業会社)
第1部|語る力(ナラティブ)

AI時代にメディアと企業は「人間らしさ」をどう価値に変えるか
小林 弘人 氏(インフォバーン/メディアジーン ファウンダー)
WIRED JAPANを創刊し、スティーブ・ジョブズへの独占インタビューも手がけた小林氏。30年にわたってメディアをつくってきた今も自らAIエージェントを開発し、記事の執筆に使っています。
その小林氏が冒頭で示したのは、AI Overviewsが表示されるとサイトへのクリック率が58%下がるというデータでした。講演の最初の章には「PVの死」という題が掲げられていました。
AIは情報を意味の空間に置かれた座標(ベクトル)として扱います。競合記事を焼き直したコンテンツは既存の情報と同じ位置に集まってしまい、新しい発見のないデータと見なされます。AIに引用されるのは常識から離れた位置にある一次体験です。小林氏はその「距離」こそが情報利得だと解説しました。
では、その距離はどうすれば生まれるのか。
小林氏の答えは「Proof of Work(人間の活動証明)」でした。
泥臭い一次体験、現場の暗黙知、失敗まで含めた検証の記録がそれにあたります。AIには主体も積み重なる経験も失敗もありません。だからこそ、何を捨て、どう葛藤したかまで書くことに価値が生まれます。
「自分は一般論から何センチ離れたか?」
小林氏はこの問いを参加者一人ひとりに投げかけているように見えました。
セミナー後のアンケートより
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「PV至上主義の終焉とAEO(AI参照価値)への転換」という指摘は地方新聞社にとって大きな指針になります。いわゆる「コタツ記事」ではなく、地域に根ざした私たちにしか書けない「一次体験」や「暗黙知」こそがAI時代の最大の武器だと再認識し、勇気づけられました。(新聞社)
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「既存クラスターから遠いことが独自性になる」というお話がとてもわかりやすかったです。(調査会社)
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PVを主軸とする考え方を改める必要性など大変勉強になりました。気になった言葉を沢山メモしたので忘れないうちに復習したいと思います。(新聞社)
第2部|定義する力(AEO)

HubSpotのコンテンツ戦略とAEOの可能性
磯野留以氏(HubSpot Japan株式会社)
磯野氏は新卒で外資系IT企業の営業職に就き、AIスタートアップでの事業開発、コンテンツマーケティング支援会社の創業を経て、現在はHubSpot Japanブログの編集長を務めています。
講演で語ったのは自ら進めてきたAEOの舞台裏でした。
BtoBの買い手の63.5%は売り手に接触する時点ですでに候補のリストアップ以降まで検討を進めています。AIとの対話で選定が進む現代では、企業の知らないところで商談の機会が失われていきます。磯野氏はこれを「見えない機会損失」と呼びました。
HubSpot Japanブログが最初に向き合ったのは、「どの領域の専門家であるべきか」という問いです。製品との関連度で全記事を評価し、既存記事の約40%を非公開にした磯野氏。この絞り込みを森の「間伐」にたとえ、「勇気を出して実行してみてください」と会場に呼びかけました。そのうえでFAQや構造化データを整えて「AIへのホスピタリティ」を高め、チェックリストとClaudeを使って作業を標準化する手法を解説。
約400のプロンプトを設計しても、人の手ではとても追いきれません。担当者としての苦労も率直に明かした磯野氏。「最終的な受け手はいつも人間」という言葉で講演を締めくくりました。
セミナー後のアンケートより
- 磯野様の「AIへのホスピタリティ」という言葉が刺さりました。AIに戦略的に「使われる」ことで知らないうちに失っている受注をいかに減らせるかを考えていきたいです。(新聞社)
- AEOという言葉はよく聞くものの、何をどうすべきかが見えていませんでした。メーカーの当社でも活かせる点が多く、特に「見えない機会損失」という言葉が刺さりました。これからのコンテンツ制作・運用の参考になりました。(メーカー)
- 改善事例や具体的なテクニックについて当社でもすぐに実践できそうなヒントを多く得られました。大変タイムリーで勉強になる内容でした。(IT企業)
第3部|理解する力(CRM)

「誰に?」から始まる、これからのメディア運営
坂田大輔(株式会社JBN)× 小林弘人氏 × 磯野留以氏
事業会社のオウンドメディアから新聞社のプラットフォームまで、20年にわたってメディアの裏側を支えてきたJBN専務取締役の坂田。第3部では、第1部と第2部の話をひとつの問いにまとめました。
「らしさ」を誰に語るのか。
「自己」を誰に定義するのか。
突き詰めれば、どちらも「誰に?」に行き着きます。
坂田が提示したのは読者をひとつの固まりとして扱うのではなく、一人ひとりの関心と行動が見えるところまで細かく捉えるメディア運営の必要性です。「読む・深める・参加する・ファンになる」という4つの体験を読者データ基盤(CRM)でつなぎ、ファネルで刈り取るのではなく、長く続く関係を育てることがメディアや企業にとって重要になってきていると解説。「愛されるメディアは稼げるメディアになる」という言葉に頷く参加者も見受けられました。
構想を示し終えると、坂田は「お二人はどうご覧になりましたか?」と小林氏と磯野氏に投げかけ、対話が始まりました。読者理解を深めるデータ、PVに代わる成果指標、部署を越えた組織づくり、そして「企業にとってメディアとは何か」。会場から寄せられた悩みも取り上げながら、議論を深めました。
セミナー後のアンケートより
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「データは集まってきているが、活かし方が課題」という悩みを抱えていたところ、坂田専務が質問として取り上げてくださり助かりました。自社コンテンツの配信で潜在的な優良顧客を獲得する活動を強化したいと、改めて感じました。(事業会社)
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中小企業のクライアントが多く、発信方法に悩んでいました。人に寄せてコミュニティをつくっていくことで、自然とAI対策になるのだと感じながら聞いていました。(Webコンサルティング)
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国内外の事例や具体的な施策に落とし込むための考え方を学べました。さまざまな角度から今後のメディアのあり方を考える機会をいただけて大変有意義な時間でした。(Webメディア)
まとめ|自分たちにしか語れないことを
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AIを使いこなし、人間らしさで選ばれる
ゼロクリックが当たり前になり、PVという物差しはもう元には戻りません。では、メディアと企業は何を拠りどころにすればよいのか。3人の登壇者はそれぞれの立場から同じ方向を指していました。
小林氏はAIには書けない一次体験こそが引用される理由になると語りました。
磯野氏は自社が「何者か」を定義し、AIにも伝わる形に整えることの大切さを示しました。
坂田はそれを「誰に」届けるのかを、読者一人ひとりの単位で考えるよう問いかけました。
語る力、定義する力、理解する力。
この3つは別々の施策ではなく、ひとつの姿勢から生まれるものです。AIは情報を運び、答えをまとめてくれます。それでも、最後に意思決定をするのはいつも人間です。
AIを使いこなすことは前提になりました。そのうえで選ばれるのは、自分たちにしか語れないことを届けたい相手に向けて語り続けるメディアと企業です。
「AIを使いこなし、人間らしさで選ばれる」
タイトルに込められたメッセージが今後ますます重要になってくる。それを肌で感じていただけるセミナーとなりました。参加いただいた皆様、ありがとうございました。
株式会社JBNについて
JBNはHubSpotのPlatinum Partner(国内パートナーの上位5%)です。メディア&電気通信領域の業界専門資格を持ち、「Customer First in Japan 2025」では第1位を受賞しました。新聞社や専門メディアから事業会社のオウンドメディアまで、メディア運営の実績が多数あります。
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