セミナーレポート|CRMを活用した会員サイトの可能性とは

目次
JBNのWebセミナー『CRMを活用した会員サイトの可能性とは』を開催しました。
業種や業界を問わず会員サイトやマイページ機能を提供する企業は増えていますが、「顧客一人ひとりに最適な情報を提供できていない」「顧客に応じたコミュニケーションを実現できていない」といった課題を抱えるケースが少なくありません。
こうした課題への解決策として注目されているのがCRM(顧客関係管理)の活用です。
今回のセミナーではCRMを活用してどのように顧客一人ひとりに応じたサービスやコミュニケーションを実現できるのか?について、BtoBおよびBtoCそれぞれの事例を交えながら解説しました。
本レポートではセミナー内容の概要とポイントをまとめ、既存顧客との関係構築におけるCRMの効果的な活用方法をご紹介します。「会員サイトを運営しているが機能やコスト、セキュリティ面に不満や不安がある」という方や、「CRMを活用して顧客との最適なコミュニケーションを実現したい」という企業様はぜひお読みください。
セミナーで紹介した内容
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事例紹介① サブスクリプション型コンテンツ配信サイト(BtoC)
※すでに会員サイトを持っていて、CRMと連携する形にリニューアルした例 -
事例紹介② カスタマーサポートサイト(BtoB)
※メール・エクセル等で管理していた内容をカスタマー向けログインサイトで実施した事例 -
その他事例とCRMを活用した会員サイトの可能性
このページの内容
会員サイトは顧客との関係を強化し、ロイヤリティを向上させるための重要なツールです。会員に特化した情報やサービスを提供することで企業と顧客のつながりを深め、長期的な信頼関係の構築を可能にします。
しかし、会員サイトを運営している多くの企業で以下のような課題が見られることが少なくありません。
- 顧客からのお問い合わせが多く、サポート業務に人手がかかりすぎている
- 顧客対応がうまくできず満足度が低下し、離反されてしまう
- 顧客の状況に応じたコミュニケーションができず全員一律の情報提供になっている
- 会員機能を持っていても、マーケティングや営業に役立てていない
CRM活用で顧客一人ひとりに対応した施策を実現
企業の活動において「顧客の名前」「住所」「属性」などの基本情報の管理が一般的ですが、CRMはこれに加えて顧客のWeb上の「行動履歴」も取得することが可能です。
行動履歴には、「顧客が閲覧したページ」「購入履歴」「メール内のリンククリック」など、具体的なWeb上の行動が含まれます。
顧客の行動履歴を活用することで、どの製品に関心を持ち、どのようなコンテンツに反応しているかをリアルタイムで把握することができます。このデータと顧客の属性情報を組み合わせて活用することで、単純な属性情報だけでは捉えきれなかった個別のニーズを明確にし、より精度の高いアプローチが可能になります。
例えば特定の商品ページを多く閲覧している顧客に対して、その商品や関連商品に関する情報をメールで配信するなど、パーソナライズした顧客対応が可能になります。これらを行うことで顧客満足度の向上や購買促進にも繋がります。
実際にCRMを活用した会員サイトを構築した事例
事例1 サブスクリプション型コンテンツ配信サイト(BtoC)
決済システムとCRMの連携で、会員一人ひとりに応じた顧客対応を可能にした事例です。
お客様のサービス内容
- 専門的な知識を習得するための動画学習サービスの提供
- 会員サイトの有無:すでに会員向けのサイトを活用中
動画学習サービスの概要
- 月額数万円のサブスクリプション型サービスとして数万人の会員を保有
- 無料会員、有料会員に分かれている
- 有料会員はランク別に視聴可能なコンテンツが異なる
課題
顧客データが活用できない/各種ツールを連携できていない
- どの属性の会員がどのように動画を視聴しているのかが把握できない
- Web上の行動に応じてメール配信などリアルタイムのアクションができていない
- 使用しているシステム(決済、CMS、CRM)がそれぞれ独立しており、データの連携ができていない
- 各種のツールへのログインもツールごとに行う必要があり使いづらい
実施したこと
HubSpotを導入し、CRM・CMS・決済システムを連携
- 各種ツールをシームレスに連携でき、拡張もしやすいツールであるHubSpotを導入
- CRM・CMS・決済システムを連携
実現した施策
- 会員情報と紐づく行動・入力データを活用し、会員の行動に応じた施策を打てる環境の整備
- 動画の視聴状況を把握しランクアップの仕組みを構築
- CRMデータに基づく詳細なレポートの取得
- 幅広いコンテンツフォーマットで会員とのエンゲージメントを向上
- シングルサインオンでシームレスなツールの利用を実現
成果
HubSpotひとつで会員の満足度を高め、運営側の負荷を減らす会員サイトへ
- データに基づく、リアルタイムアプローチが可能に
- 決済システムとCRMを連動させ、より詳細な分析が可能に
- 会員サイトの成長に合わせ拡張しやすいシステムへ
CRMの連携により顧客の属性やWeb上の行動、決済状況の様々なデータを活用して一人ひとりに適切な施策や情報提供を行えるようになりました。またHubSpotのCRMは拡張もしやすいシステムであるため、今後の会員サイトの成長も踏まえて活用の幅を広げていくことができるようになりました。
事例2:カスタマーサポートサイト(BtoB)
CRMを活用してカスタマーサポートサイトを構築し、サービスの進捗状況や契約状況を可視化した事例です。
カスタマーサポートのサービス概要
- Webサイト上の専用フォームを通じて依頼を受け付け、顧客のWeb運用業務(例:フォーム差し替え、テキスト変更)をサポートするサービス
- 年間定額契約制を採用し、契約金額内で対応可能な作業量(工数)を提供
- 依頼内容によって必要な作業工数が異なる
- 作業完了時や内容確認時に顧客とメールでやりとりを重ねながら進める
課題
作業の進捗や契約状況が可視化されていない
- 顧客がリアルタイムで修正依頼状況の把握ができない
- 顧客が契約金額に対しての作業上限が把握できないため、気づかないうちに契約可能上限に達してしまうことがある
- 事業者側が修正作業の進捗状況の共有や、契約上限の管理や説明に追われてしまう
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進捗状況が不透明なことで顧客側の不満がたまりやすい
これらの課題から顧客がリアルタイムで作業の進捗を確認できる仕組みや、自業者側のメンテナンスに関する問い合わせ対応の負荷を減らす仕組みが必要でした。
実施したこと
HubSpotでカスタマーサポートサイトを構築し、作業や契約の状況を可視化
- 顧客専用のマイページ内で作業の依頼から終了までの進捗を管理
- 依頼内容、対応の進捗状況、契約状況を可視化
実現した施策
- 依頼をステージ別に管理
- 依頼の進行状況を見える化(個人)
- 依頼の進捗状況を見える化(企業全体)
- 完了済みの依頼と消費ポイントを可視化
- 契約金額のポイント化と残りポイントの可視化
成果
ブラックボックス化しがちな作業進捗を可視化し顧客との信頼関係向上へ
- 進行状況が可視化されたことで、状況確認の問い合わせが減少
- 可視化によって事業者・顧客双方が安心して進められるように
- 依頼の進捗が明確なため、顧客満足度が上がり離反率が低下した
HubSpotを活用したカスタマーサポートサイトの構築により、これまで不明瞭だった進捗状況や契約内容を可視化。事業者側は進捗や契約状況の説明にかかる手間を大幅に削減でき、業務効率が向上しました。また顧客側はサービスの利用状況を随時確認できるようになったことで、顧客満足度が向上し離反率の低下にもつながっています。
CRMを活用した会員サイトの可能性
CRMを活用して会員サイトを運用することで個別の顧客データを統合し、様々なデータをもとに顧客一人ひとりに最適化された情報を提供することが可能になります。そして、CRMと連携した会員サイトを構築する際に、特に適しているプラットフォームがHubSpotです。
HubSpotは、CRMを標準搭載しているだけでなく、単一のプラットフォーム上で会員との円滑なコミュニケーションの全てを実現できる機能がひとまとめになっているツールです。
会員サイトの導入や運用に課題を感じている方は、ぜひHubSpotを導入してよりパーソナライズした会員サービスを提供してみてはいかがでしょうか。
セミナー内でいただいたご質問への回答
Q1. BtoB企業において顧客管理はどこまで厳格にやることが求められるでしょうか?
顧客のステータスに「部署異動」「役職変更」「退職」などさまざまな項目があるのですが、営業パーソンによって入力状況にバラつきがあります。どこまでがマスト事項と考えるべきでしょうか。
Answer
どこまで取得すべきかは業種や企業によって変わります。
いただいたご質問からお悩みは2つあるようにお見受けします。
1つめは「どんな項目を取得すべきか」ということ。
2つめは「入力を徹底するにはどうすればよいか」ということ。
どんな項目を取得すべきかはを下記をそれぞれ洗い出す必要があります。
- 営業活動の中で取得しなくてはならない項目
- マーケティング活動の中で取得しなくてはならない項目
- それらの活動の評価のために取得しておきたい項目
その中で、優先順位を決めて必須の入力項目を決定します。ただ、どんなに入力項目を少なくしても、入力状況のばらつきは発生することが多いです。
入力を徹底するためには、コミュニケーションが大切です。まず、なぜそれらの項目の入力が必要なのかを社内に伝え続けること。また、定期的に未入力項目を確認し、入力してもらう時間をつくること。
定期的にスクリーニングをする体制を作ると、ある程度時間はかかりますが徐々に入力の習慣がついていきます。
Q2. 会員システムとカートシステムを連携させて、顧客とのやりとりと受発注を一元管理することはできますか?
ユーザーからのシステムの修理依頼や部品発注、消耗品発注(いすれも原則有料)をショッピングカートシステム(shopify)使っています。ただ、カートシステムではコミュニケーションが取れないので別途メールでやりとししています。会員システムとカートシステムを連携させて、顧客とのやりとりと受発注を一元管理することはできますか?
Answer
A:一元管理をすることは可能です。まず、shopifyの場合でもマーケティングメールの配信や受注の管理までは実施ができます。担当者が1名しかいない場合や、そこまで修正依頼/部品発注管理が事業にとって重要ではない場合は、まずはshopifyの機能を使ってどこまで管理や情報発信ができるのかをお試しいただいても良いと思います。
ただし、CRMなどと連携していない場合は発注の管理やそのほかの顧客管理については別のツールを使用いただく必要があります。
ご質問内容からは御社の製品販売後のサポートを行なっている大事な機能かと想像します。CRM(HubSpot)と連携させると下記のようなことが実施できるようになります。
- サイトのアクセス状況や問い合わせ状況などの履歴も加味し、顧客の状況に合わせた情報発信ができる
- 案件管理の機能と連携させ、「受注状況」「発注状況」も合わせて一つのツールで管理をする
顧客の満足度を高めるために、CRM連携を検討しても良いかと思います。
Q3. 登録ユーザーが3000名、1か月以内にログインしたユーザーが50名程度なのですが、ログインユーザーを増やすために具体的に何をすべきでしょうか
Answer
登録ユーザーにログインを促すための施策ということですね。
まず、サービスによってログインの頻度が変わるため「1ヶ月以内のログインユーザーを増やすこと」が御社にとって最適な目的なのかは、もしよろしければどこかで詳しくお聞かせいただければと思います。
サービスによっては「便利だし顧客満足度は高いが、ログイン頻度は低いもの」が存在します。
例えば、保険の会員サイトなどです。ショッピングサイトだったとしても、何かしら買い物や商品が必要になったタイミングでないと会員ページには訪れないため、四半期に1回くらいのログインペースが最適な場合もあります。
旅行サイトであれば、1年の間に旅行する頻度は1~4回のユーザーも多いため、ログイン頻度は年に1~4回あれば十分ということになります。
頻度のことは置いておいたとして、ログインを忘れない様にしてもらうには、地道ですが下記のような活動を行なう必要があるかと思います。
- ユーザーが繰り返し訪れるような、利便性や仕掛けをつくる
- 定期的に登録者にメールなどの情報発信をし、思い出してもらう
- 登録ユーザーに限定し、広告を出して思い出してもらう
Q 4. 本日の事例に出ていた会員サイトはHubSpotのContent Hub のみで構築されたものですか?
Answer
サイトやサービスによってContent Hub 以外も使用しています。多くの場合は他のHubSpot の機能も必要になるとお考えいただけると幸いです。
ただ、「どこまで実施するか」「一元管理をするか」で使用機能は異なります。
例えば、繰り返しコンテンツを閲覧したり有料コンテンツを購入してくれる優良なユーザーに対して「手厚くサポートをするために特別なサポート管理をする」という場合はSales Hub やService HubSpot の取引やチケット機能が必要になります。
会員に定期的にメール配信をしたり特別な広告を配信する場合はMarketing Hub が必要になります。
受注状況や発注管理のために決済システムなどと連携が必要な場合はOperations Hubが必要になります。
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