セミナーレポート|コンテンツを通じて関係構築。テクニックに頼らないメールマーケティング

目次
JBNのWebセミナー『テクニックに頼らないメールマーケティング』を開催しました。
本セミナーでは顧客の状況に応じたコンテンツの配信によって信頼関係を築き、成果につなげるメールマーケティングについて、実際に成果につながった企業事例を踏まえてご紹介しました。
本レポートでは、セミナーの内容を振り返りながら、「コンテンツを通じて関係性を深める」ためのポイントを整理しています。
「メールマーケティングに取り組んでいるが成果がなくて挫けそう」という方や「もっと顧客と長期的に関係を深めたい」とお考えの企業様はぜひお読みください。
よく聞くメールマーケのコツは「短期的な成果だけ」かも
短期的な成果を求める際によくある手法
- 開封率を上げるためにタイトルに緊急性や限定性を持たせる
- クリック率を上げるために細かくセグメントせず、できるだけ広く配信する
これらは短期的な成果にはつながるかもしれません。
しかし一方で、こんな経験はありませんか?
よくあるネガティブな体験
- 動画配信サービスのトライアルに申し込んだら毎日のように有料プランの案内が届く
- 自分の業界とは無関係な導入事例の情報が送られてくる
こうしたメールが届き続けると不信感を持たれたり「自分には関係がない」と判断され、登録解除につながる可能性があります。
メールマーケティングの成果には顧客の状況に応じたコンテンツの配信が不可欠
タイトルに緊急性を持たせたり、配信時間を工夫したりしても、そもそも受け手の関心やニーズに合っていなければ意味がありません。
大切なのは、受け手の状況を理解したうえでその人にとって必要な情報を届けることです。
メールマーケティングで成果をあげるポイント
- メールマーケティングの成功には顧客の状況把握が⽋かせない
- 顧客の状況把握にはカスタマージャーニーの定義やCRM活⽤が重要となる
- 顧客の状況に応じたコンテンツを届け続けることで信頼や期待が醸成され、最後は問い合わせや受注に繋がる
メールマーケティングの成果事例
事例1:継続的なメール配信で信頼関係を構築(株式会社ハーモ様)
株式会社ハーモはプラスチック射出成形機の成形品の取り出しロボットや、その周辺機器の総合メーカーです。本事例では、セミナー開催に合わせて理解を深めるコンテンツを段階的に作成し、メールで配信することで、見込み客との信頼関係を築いた取り組みをご紹介します。
実施したこと
- 記事の閲覧数‧業界トレンドを参考にセミナーテーマを設定
- セミナーテーマの理解を促進する記事や製品紹介記事を準備
- セミナーの開催に向けて段階的にメールを配信
具体的な取り組み
- セミナー開催に向けて段階的にコンテンツを配信
- メール配信に合わせてブログ記事を公開
- 告知とあわせてセミナーに関連するブログ記事を配信
- 3名のコアメンバーが3年以上コツコツと継続
セミナーの当日を含め4回のメール配信を実施しています。セミナーの案内と一緒にセミナー内容の前提知識や製品を記事コンテンツとして事前に共有することで、ユーザーの興味やセミナーへの理解を深められるようにしました。
成果
- 累計のセミナー参加者が年間500⼈程度のペースで増加
- 顧客内新規リードの獲得とダイレクト流⼊の増加
課題解決に役⽴つコンテンツをメールで届け続けることで、情報が顧客社内でシェアされ、ハーモに対する期待感・信頼感が高まり、最終的に商談‧受注に繋がったケースも。
事例2:自社の強みと取り組みをコンテンツ化し、顧客からの期待感を醸成(ベイクックコーポレーション様)
ベイクックコーポレーションは、お米に関する事業を多角的に展開する企業です。精米・玄米の卸売販売や、炊飯・加工品(おにぎりなど)の製造・販売を行っています。
取引先は、飲食店、スーパーのバイヤー、給食事業者、福祉施設、社員食堂を運営する企業など多岐にわたります。
本事例では自社の強みや取り組みをコンテンツとして発信し、定期的なメール配信を通じて顧客に届けることで、「お米の専門家」としての期待感を醸成した取り組みをご紹介します。
実施したこと
- お⽶の専⾨家、お⽶のコンサルタントとしてのポジションを確⽴するという⽬標を掲げる
- メール配信に合わせて、顧客の状況に応じたお⽶に関するコンテンツを新しく執筆することを決定
- 発信するコンテンツを格納することを前提にWebサイトをリニューアル
具体的な取り組み
顧客の状況に応じたコンテンツの⽅針と内容を定める
取引先から「お⽶の専⾨家」として認識されるために、3つの段階ごとにコンテンツの⽅針と、これに対応するコンテンツを設計。
取引先の状況に合わせて、下記の内容のコンテンツをメールで配信。
- この企業は単なるお米の卸売業者ではなく、お米に関する知識やノウハウを持つ企業であることを印象づけるためのコンテンツ
- 「お⽶の専⾨家」である理由を、具体的な事例を通じて理解してもらうためのコンテンツ
- ⾃社の取り組みを信頼してもらい、相談などの具体的なアクションを促すためのコンテンツ
成果
- ユーザー数が前年⽐226%増
- 引き合い獲得数が前年⽐154%増
既存客からの問い合わせが増えたほか、サイトが拡充することにより新規ユーザーの訪問数や問い合わせ数も向上しました。
そして問い合わせの質も変化し、お⽶の専⾨家としてアドバイスを求められるようになりました。
事例3:CRMを活用したコミュニケーションで業務への不安を解消(BtoC向けスタッフ派遣サービス)
本事例では、派遣スタッフの登録から稼働に至るまでの「不安」を定義し、行動シグナルに応じたメールを自動で配信。不安を先回りして解消するコンテンツを届けることで、派遣会社とスタッフの間にある情報ギャップを埋め、安定稼働へと繋げる取り組みをご紹介します。
サービス概要
このサービスは、働き手を求める利用者と派遣スタッフを、プラットフォーム上でマッチングする仕組みです。
派遣スタッフのスキルと利用者が希望する業務内容を照らし合わせ、条件が合えばマッチングが成立します。
その後業務の実施日を調整し、派遣業務が進められるという流れです。
実践したこと
- スタッフ登録‧稼働までのジャーニーを定義し、不安を払拭するコンテンツの内容を決定
- CRMで⾏動シグナルをキャッチするための環境を整備
- 派遣スタッフの⾏動をシグナルにしてリスト分け
- リアルタイムに更新されるリストに対してジャーニーに応じたメールを⾃動配信
スタッフ登録‧稼働までのジャーニーを定義
CRMで⾏動シグナルをキャッチ&ジャーニーに応じたメールを⾃動配信
これらの情報をCRMに蓄積し、行動ステージごとにスタッフをリストを分類。個々の行動に対応するコンテンツをパーソナライズしてメールで配信することで、スタッフが感じる不安を先回りして解消できるようになりました。
顧客情報を整備して施策の⼟台を固める
施策の実行にはデータ基盤の整備も欠かせません。もともと別々に管理されていた以下のデータをHubSpotのCRMに連携・統合しました。
- 基幹システムの情報
- 契約データ
- 会員登録データ
これらの情報を一元化し、フォーマット統一・正規化・整合性チェックを行うことで、精度の高いリスト作成や行動分析が可能になり顧客の最新の状況を正確に把握できるデータ基盤が整いました。
まとめ:メールマーケティングの考え方
- 何よりもまずはメールを配信する先にいる顧客の状況を最優先に考える(テクニックに走らない)
- 「顧客の状況」を考える際に、検討の度合い、顧客の持っている情報量、サービスの利⽤段階などがきっかけとなる
- 必要であれば社内データを連携させ、「顧客の状況」を判定するために CRMの⼟台を整える
顧客の状況を正しく把握し、その状況に応じたコンテンツ継続的に届けることがメールマーケティングの成果につながるポイントです。そのためには社内に点在するデータをCRMに統合し、顧客の行動シグナルを把握できる環境を整えることも大切です。
テクニックに頼るのではなく「顧客理解」を軸にしたメール配信で長期的な信頼関係を築いていきましょう。
セミナー内でいただいたご質問への回答
1. 無形商材のメールマーケティングの考え方
Question
人材業界、サービス業界等、具体的な商材があるわけではない場合のメールマーケティングの考え方を知りたいです。
Answer
メールマーケティングの本質は顧客の課題解決にあります。
商材が明確でなくとも、相手の検討フェーズや情報量に応じた内容を届けることで理解を促し、継続的な関係を築けます。宣伝や案内のメールだけでなく、有益な情報提供を通じて信頼を積み重ねていく姿勢が大切です。
2. 顧客とのLINEメッセージにも役立つメルマガの考え方
Question
メルマガを使った顧客との関係構築はLINEのメッセージにも応用できますか?応用できる場合、注意点などがあれば教えていただきたいです。
Answer
メルマガでの関係構築の考え方はLINEのメッセージにも応用可能です。
LINEはHubSpotと連携でき、友だち追加時のアンケートなどで得た情報をCRMに蓄積することで、ユーザーごとの興味や関心に応じたメッセージを送り分けることができます。
適切な情報を適切なタイミングで届けることで、LINEでも信頼関係を深めるコミュニケーションが可能になります。
3. 社内のデータをHubSpotに統合する際の注意点
Question
BtoC向けスタッフ派遣サービスの事例はデータ連携をしていたと思うのですが、社内のデータをHubSpotにデータ統合する際に気をつけることなどはありますか?
Answer
社内データをHubSpotに統合する際は、まず現状のデータを整理し、施策に本当に必要な情報や形式、データ量を把握することが重要です。点在するデータを闇雲に集めると手間もコストも増えます。また、データが複数部署にまたがることも多いため、社内の協力体制を築きながら進めることが成功の鍵です。4. 各事例の取り組みの体制
Question
事例で紹介された会社はどのような体制・人数でこの取り組みを実施していましたか?
Answer
事例1のハーモ様は、取締役を中心としたコアメンバー3名とJBNからはマーケター・ディレクター2名の体制で取り組みました。
事例2のベイクック様は、営業支援担当と常務取締役の2名が中心となり、JBNからはマーケター、ディレクターの2名の体制で取り組みました。
事例3のBtoC向け人材派遣サービスの企業様は、社内のマーケティング担当1名と、JBNからはデータ連携エンジニア2名の体制で取り組みました。
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