【コラム12】「わが社の強み」もユーザー目線で

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JBNが本社を置く善光寺門前界隈はおそらく全国でも有数の蕎麦屋の激戦区です。数年前のことですが、ボランティアで街のガイド図を手作りした際に、そこに載せる短い紹介文について近所の蕎麦屋と打ち合わせをしました。「ウチはカツ丼も自慢なんだ」という親父に、しかたなく「じゃあそれも書き添えますか」と応じたところ「それにたまご丼も」と追加され、それだとただの食堂になってしまうな、と困ったことがあります。蕎麦自体は悪くないのにこれでは激戦区を勝ち抜けません。
コーポレートサイトにその企業の強みを載せること自体はよいことです。しっかりした内容であればそれによってユーザーが比較検討できるからです。事実を曲げて強みをアピールすることは論外としても、この蕎麦屋の親父のようになってしまうことも実際によくあります。
自社の強みのようなコンテンツは、ユーザー目線を〝そっちのけ〟にしてしまいやすい側面を持っています。また、最初は自社の特徴が鮮明だったはずなのに、制作していく過程でそれが薄れていってしまったりすることもあります。
一定の組織であれば「自社の強み」などは常に内部で語られていることが多いでしょう。だからセグメントが繰り返されていて、不意に問われてもすぐ出せるカードのようなものです。ただこれが落とし穴になる場合があります。この段階では、他社と比べてウチはこれが強いよね、という経営上・営業上整理されて共有化された強みでしかありません。もちろんこれはこれでとても大切なことなのですが、そのままではサイトに訪れたユーザーの役にたつ情報ではありません。
Webに強みを掲載する場合は、自社がターゲットとするユーザーはどういった基準で購入先や取引先を判断するのかを想定します。その基準に合わせた形で自社の強みを整理し、表現を整え、必要であれば優先順位をつけ項目によって扱いの強弱をつけていきましょう。もちろん前提としてターゲットユーザーやペルソナがしっかり固められていることが必要です。ちゃんと手順を踏めば、前出の蕎麦屋のように制作過程で薄まることもありません。
この一連の作業は思いの外重要なので、必要があれば部門横断的に取り組み少し時間と手間をかけてもいいでしょうし、協力を仰いでいる制作会社やマーケティング支援会社の力を借りる手もあります。
会社によっては、この作業を通じて思わぬ副産物が生まれることもあるかもしれません。
執筆者:JBN塚原
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